※本レポートには内容のネタバレが含まれます。ご注意下さい。
先日、都内スタジオにて『あでやかな愁情』の収録が行なわれました。
ディスク2枚組ということで数日に渡っての収録となりました。
収録当日、早速テスト収録へ。
数シーンを演じていきながらそれぞれのキャラクターの設定を行います。
お馴染みの臣、慈英、三島、壱都、浩三と、それぞれのキャラクターをばっちり把握されているメインキャストの皆さん。
一発OKですぐに本番へ。
また、その他の各キャラクターのイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
さて、お久しぶりの収録は、神谷さんが演じられる臣の膨大な台詞量との戦いから始まりました。
物語は、臣の夢の場面からスタート。
過去を思わせるおぼろげな1シーン、鼻歌で紡がれる子守歌と、神谷さんの演じられる臣の吐息混じりのモノローグが物憂げで、
冒頭からグッと物語にひきこまれます。
シリーズを通して、表情豊かで躍動感あふれる魅力的な臣を演じて下さる神谷さん。
色鮮やかな存在感を放ったかと思うと、じんわり心の奥底に隠された臣の心情を台詞の端々ににじませたり…とまさに自由自在。
はしゃいだり、明るいトーンながらも語尾だけを震わせたり、吐息と台詞の間ギリギリのラインで消え入るように…と、
臣の複雑な心情を細やかに演じて下さっています。
キャラクターについても深く理解されていて、収録中、臣の気持ちになって
「ここはこういう表現の方が臣らしいのでは?」という意見を下さることも。
一言の台詞でも「今のは臣っぽくなかった」と納得されるまで繰り返されたりと、
真摯なまでの役への追及は毎回頭が下がるばかりです。
だからこそ、臣が過去のトラウマに苦しんだり、慈英との関係に悩んだりする場面では、
ご本人も苦悩されつつ、臣の気持ちを十二分に表現して下さっています。
さて、そんな神谷さんだけでなく、先生からも『慈英さん』と呼ばれるほど、役を理解して下さっている秀島慈英役の三木さん。
落ち着いたトーンの中にも、底を見せない何か心に秘めたような演技に毎回圧倒されます。
台詞と台詞の合間、息のアドリブすら「慈英だ…」と思わされてしまう納得の役作りは必聴です!
飄々とした芸術家然とした雰囲気はもちろんですが、臣に対する態度、それ以外の壱都や三島、浩三、アインに対する態度の違い等、
相対するキャラクターに対しての感情表現の絶妙なさじ加減はさすがの一言!
甘~く臣を蕩かせたかと思うと、意地悪に臣を翻弄したり、かと思えばアインに辛辣な台詞を吐いたり、
どこか他人事といった風に感情が見えなかったり…何も言わずとも、
どこを聞いてもまさにキャラクターそのものといった演技に、収録中、「慈英かっこいい」と聞き惚れるばかりでした。
そしてメインのお二人だけでなく、このシリーズに登場するキャストの皆さん方の演技がまた素晴らしいのです!
今回、臣の父親代わり・堺刑事を演じられるのは大川さん。
これまで演じて下さった中村さんに代わって本作が初登場となりますが、中村さんのテイストを継承しつつ、
大川さんならではの堺刑事を作り上げて下さいました。
洒脱で渋い、でも三枚目な部分も残しつつ、しめる部分ではしめて…と存在感溢れる演技が素敵です!
臣とのやりとりでは、乱暴な口ぶりでも臣への愛情と父性、あたたかさすら感じられます。
三島慈彦役の関さん。落ち着いた低い声音が本当にかっこいいです!
壱都を守る、そんな使命感と愛情が台詞の端々ににじみ出ていて、包容力に溢れています。
上水流壱都役の小林さん。
壱都が登場するだけで、その場がパッと明るくなる、シリアスな物語の一服の清涼剤のような存在です。
実は複雑な過去があるのですが、それらを一切感じさせない、様々なものを超越した上の天真爛漫さが、
小林さんの演技で絶妙に表現されています。
丸山浩三役のてらそまさん。
おおらかで優しく、人情とエネルギーに溢れる浩三さんを熱演して下さっています。
てらそまさんの飾らないナチュラルなお声と演技にホッと癒されます。
アイン・ブラックマン役の恒松さん。
聞いているこちらが臣と一緒にタジタジになるほど、圧倒的な存在感でした。
ゴーイングマイウェイ、マイペースでテンションが高い!
今作で、慈英と臣の間をかき回すだけのパワーを感じられる、まさにハンサムウーマンといった力強い演技にご注目!
他にも、秀島照映役の風間さんをはじめ、臣の母親・明子役の矢野さん等、本作に登場する全員が物語の重要な役割を担っています。
ぜひどのキャラクターも隅々まで耳を凝らしてお聞き頂ければと思います。
さて、今回の作品は3部作の完結編だけあって、臣の過去に大きく関わる母親の存在についてや、
慈英と臣、二人のこれからの有り方について等、とにかくどこをとっても胸が苦しくなるような心に迫る場面ばかり。
あまり詳しく書いてしまうとネタバレになりすぎるので(笑)、おすすめのシーンをいくつかご紹介いたします。
まずは慈英のエージェント・アインの登場に不安で揺れる臣の場合、
露骨に慈英にアプローチするアインに、自分が慈英の側にいていいのか、離れた方がいいのではないかと苦悩します。
慈英を理解しているからこそ、彼が冷たい態度を取りつつも、アインに心を許していることに気付いてしまい…
慈英からの愛情を感じつつも、圧倒的なアインの存在に不安と苛立ちを隠しきれず、それでも自分と慈英を信じようとするのですが…。
切なく苦しい臣の心に、聞いているこちらまで胸がぎゅっと苦しくなります。
そして、「光臨の導き」内部クーデターから端を発した一連の事件を追っていくにつれて、
自分の過去に大きく関わる母親という存在に近づいていく臣。
中学時代、臣を置いて突然失踪した母・明子の存在が、これまでの臣の人生に大きなトラウマをもたらしていたのですが、
そんな母の不器用な実像に触れ…。
「過去に何があっても、今は――おれは、警察で仕事をしている。ちゃんと強く、生きている。責任もある」
彼女が失踪した真相や当時の母の想いや愛情を知り、受け入れる臣の姿の真摯さに心を打たれます。
神谷さんの静かで凪いだ演技が、臣がつらい過去も苦しさも全てを受け入れ、
乗り越えた人間の強さやしなやかさを表しているようで、感慨深ささえ感じられます。
しみ入るような声のトーンで、神谷さんが本当に細やかに演じられた臣の心情にご注目下さい。
さらに、メインのお二人の恋愛的な場面はどのシーンもおすすめ場面しかないのですが、
何と言ってもディスク2の物語終盤、慈英が臣をかばって怪我した後、病院での場面です。
ここでの慈英と臣のやりとりはとにかく必聴です!
臣の苦悩と後悔、謝罪…そして決意。
泣きすがりながら必死に言葉を紡ぐ臣と、それを優しく受け入れる慈英。
臣が涙ながらに声をふりしぼって慈英に想いをぶつける場面は、お二人の迫真の演技に、
思わず涙をこらえるのに必死で言葉がでませんでした。
深い結びつきとお互いへの愛情が二人のやりとりから痛いほど伝わってきて、
これまで色々な苦しみを乗り越えてきたからこそたどり着けたんだな、と感慨深くもあり。
クライマックス、胸が痛くなるような心を揺さぶるシーンでありながら、
最後には笑顔がこぼれるような幸福感に溢れた素敵な場面に仕上がっています。
そして、シリアスな展開が続く中、肌をあわせるシーンももちろん聞き逃せません!
何気ない日々のいちゃいちゃからの場面は、臣のとろけるような声と意地悪な慈英の濃厚なやりとりにうっとり♥
最中の笑いまじりの会話はラブラブ&甘さたっぷりです。
更に、臣が悪夢にうなされた後、不安をふきとばすような激しいやりとりも、二人の愛情が溢れていて、
聞いているこちらの胸がキュンとさせられます。
(余談ですが、本レポート用に走り書きしたメモを見返していたら、この場面「愛が溢れすぎ…」と乱れた字で書きなぐられていました(笑)。)
そして、何といっても物語終盤の入籍後の場面は、とにかく聞いてほしいとしか言いようがありません。
濃厚でドキドキさせられるのはもちろんなのですが、一ファンとして終わってほしくない切なさや万感の想いを感じつつ、
本当に二人が幸せになってよかった…としみじみ思える、素敵な場面に仕上がっています。
どのシーンもそれぞれ臨場感と熱量にあふれていますので、お楽しみに。
過去と現在を交差しつつの怒涛の展開だけでなく、登場人物達のたわいないやりとりだけでも、
思わず胸にグッとくるシーンがもりだくさんのこの作品。
神谷さん、三木さんを始め、役者さん方の紡がれる一言一言が本当にそのキャラクターが生きているようでした。
臣の過去、紆余曲折を経ての慈英と臣の強固な心の結びつき、他登場人物達の想い…。
どこをとっても聞き所が満載です。
こぼれる息、少しの台詞の間までも細かくこだわって調整しながら、
原作の世界観を丁寧に紡ぎ上げました。ぜひすみずみまで聞いて下さい!
そして、購入特典の「神谷さんと三木さんによるフリートーク」では、収録後、お疲れの中、長く続いたシリーズに万感の想いがあるようで…
熱く濃いお話がたっぷり。シリーズファン必聴のトーク、皆様ぜひぜひ手に入れて下さいね。
以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。
2017年11月28日発売、『あでやかな愁情』、皆様ぜひお楽しみ下さい!!
ご購入はこちらからどうぞ!
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