※本レポートには作品のネタばれが含まれますのでご注意下さい。
先日、都内スタジオにて『新装版Nobody Knows』の収録が行われました。
今回の作品は、人形メンテナンス会社で働くススム×モドルのお話と、愛の為にネコ修行をするヒロとそれに協力するテルちゃんのお話、そんなテルちゃんに一途に
想いをよせる樋野山のお話…という三部構成になっています。
■収録1日目
まずは表題作のススム×モドル組の収録から。原作者のSHOOWA先生のご挨拶の後、気合十分、なごやかな雰囲気で収録がスタートしました。
早速テスト収録へ。
数シーンを演じて行きながら、それぞれのキャラクター設定を行います。
モドル役の興津和幸さん。
気だるげな、少し低めの落ち着いたトーンで演じて下さいました。無気力で力の抜けた雰囲気がイメージにぴったりです!
さらに、先生より「モノローグやセリフに意味や感情をあまり持たせず、あえて軽めに、とにかく淡々とした雰囲気で演じてほしい」とのリクエストが。
ススム役の川原慶久さん。
低い声音で、クールな雰囲気がかっこいいです!
それでも「色っぽすぎる(笑)」と先生からも嬉しい悲鳴が(笑)。特に序盤は表情を抑え、ボソボソッとした雰囲気で演じて頂くことになりました。
ススム×モドルについては、お二人とも役柄上「基本感情を抑え目に、極力出さない感じで。感情が表に出ない、それでも伝わる気持ち」を意識して
演じて頂くことになりました。
その他、各キャラクターの的確なイメージや要望等もキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
物語は、二人の勤める人形メンテナンス会社の場面から始まります。人間と人形(アンドロイド)が共存する、少し未来の不思議な世界観。
無気力なモドルと感情を感じさせないススムの飄々としたやりとりに、冒頭からグッと引きこまれていきます。
モドルを演じられる興津さん。
軽めな淡々とした中にも、どこか憂いさえも感じさせる雰囲気で、ススムの言動に振り回され揺れ動くモドルの感情を丁寧に演じて下さいました。
全てを諦めたような物憂げで今風の台詞回しの中にも、にじみ出るモドルの感情を繊細に表現して下さる興津さん。ススムの行動に戸惑ったり、流されたり、
心をかき乱される様子が聞いているこちらにも痛いほど伝わってきます。
ススムを演じられる川原さんは、キャラクターの性質上、感情を感じさせない演技が求められました。
機械的にすら感じられるほど淡々としながらも、何か心に秘めたような役作りが印象的でした。低く静かな声音がイメージぴったりで、ススムの得体の知れなさ等を
引き立てています。基本、ススムは感情を出さないキャラクターですが、物語が進むにつれ、徐々にあふれ出る心情を垣間見せたり、要所要所でモドルに想いを
伝える場面が登場します。いかに抑えた中にススムの気持ちを台詞に乗せるかという、難しい表現が求められましたが、さすがの川原さん、聞いているこちらが
もどかしく、苦しくなってしまうほどの演技で、ススムの心情を表現して下さっています。
身体を重ね、どんどん距離が縮まっていく二人。
ススムの何気ない動きや視線に変化が現れ、そんなススムの愛情に触れたモドルも…。
物語が進むにつれ、身体だけでなく、二人の心の距離が近づいて行きます。そんな中、モドルはススムの秘密を知ってしまい――。
どこをとっても聞き所なのですが、物語終盤、ススムがモドルにとあることを懇願する場面は必聴です! ススムが声を荒げ、感情を溢れさせる場面。
ススムの溢れる感情をここぞとばかりに爆発させ、渾身の力で演じて下さる川原さん。涙ながらに震える声で、そんなススムの想いを受けとめるモドル。
川原さんと興津さん、お二人のやりとりに耳を傾けていると、キャラクターの気持ちがブワッと押し寄せてきて、思わず圧倒されてしまうほどでした。
抑えた演技の中にも二人の心情があふれ出ていて、切なくも苦しく、聞いているこちらが固唾をのんでしまうほど胸を打つ場面に仕上がっています。
ここからラストシーンまでのお二人の熱演は、涙なしには聞けません!
そして肌を重ねるシーンは、静かな中にも色っぽさ、艶っぽさが溢れています!
直接的な言葉はなくても、荒い息や吐息混じりの二人のやりとりがたまりません…っ!
静かな中にも、熱っぽく、聞きごたえのある場面に仕上がっています。
モドルとススム、二人の結末はどうなるのか?
二人の切ない恋物語を、ぜひドラマCDを聞いてお確かめ下さいね!
お二人の繊細な演技に聞き惚れているうちに、1日目の収録は無事終了となりました。
■収録2日目
2日目は、幼馴染のテル・ヒロ、樋野山の物語の収録です。
この日も先生のご挨拶の後、テスト収録へ。ススム×モドルのお話とうって変わって、こちらはハイテンションなコメディ作品のためか、収録前からキャスト陣も
ハイテンション。楽しい収録となりました。
ヒロ役の下野紘さん。
テンション高めに、早い台詞回しもお手の物、テンポよく演じて下さいました。
パワフルで勢いがある様子がまさにヒロそのもので、一発OKでした。
テル役の羽多野渉さん。
男っぽくナチュラルに演じて下さいました。飾り気のない雰囲気が素敵です!テルは実際に存在するかのような今時の普通の人、のイメージということで、
あまり作りこまずに自然体で、こちらもテストの役作りのまま進んで頂くことになりました。
樋野山役の山中真尋さん。
優しそうな物腰、大人っぽく品のある雰囲気で演じて下さいました。穏やかな樋野山ですが、基本ラインはそのまま、若干弱く感じられてしまわないよう、
特に物語が進むにつれて、徐々に気合いを入れてテルに向かいあい奮起し、力を出していくという風に演じて頂くことになりました。
その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
全体を通して「落とすところは落として、明るいところは思いっきり明るくメリハリをつけてほしい」という先生のリクエストに、キャスト一同が頷き、本番へ。
物語はテル×ヒロの幼なじみコンビのお話から。想いを寄せるさいとう君のため、『ネコ』の特訓に取り組むヒロと、その練習相手として巻き込まれるテル。
冒頭からエンジン全開の二人のやり取りが繰り広げられます。
冒頭から、下野さんがスピード、強弱を自由自在に使い分けて、表情豊かなヒロを熱演!
ヒロが登場するだけでその場が明るく盛り上がるような、色鮮やかな存在感です。
下野さんの紡がれる台詞回し、テンポ、すべてがヒロそのもの! ハイテンションでいたかと思いきや、真摯な表情を見せたり。
ヒロのさまざまな顔を見事なまでに表現して下さる下野さん。ヒロが登場するたび、スタジオ内は大盛り上がりでした(笑)。
テル役の羽多野さん。
ゴーイングマイウェイなヒロに振り回されつつも、ついついヒロの頼みを聞いて協力してしまう人の良さが、羽多野さんの演技から溢れていました。
男っぽい中にも強引に来られると流されてしまう押しの弱さや、情の厚さ。人間味にあふれたリアルな今時の男性像を、羽多野さんが絶妙に演じてくださっています。
このテル×ヒロのやりとりはとにかく聞いてください…! としか言えません!
お二人も楽しんで演じて下さって、収録中は原作の漫画を片手に、終始笑いに溢れていました。お二人のテンポのいいやりとりにグイグイ物語に引き込まれることは
間違いありません! 下野さんと羽多野さんがフルスロットル、全開で演じて下さって、ほとんどNGなし、原作の勢いそのままに、現場も熱い盛り上がりを見せ、
ものすごい勢いで収録が進んでいきました。
特に聞き所はテル×ヒロの肌を重ねる練習の場面と、本番の場面です! お二人も思わず「斬新だなー!」と仰るほど、面白くも楽しいシーンになっています。
もちろん面白さだけでなく、肌を重ねるシーンならでは、ヒロの色っぽさやかわいさ、テルのかっこよさもあふれています! お楽しみに!
そしてもう1つのお話が、テルが働く焼き鳥屋『風来』の客・樋野山とテルの物語です。
ここからは樋野山×テル…と一粒で二度おいしいお話が繰り広げられます。
樋野山役の山中さん。
優しそうな柔らかい雰囲気が素敵です! テルに思いを寄せ、ヒロに応援されて、勇気を振り絞って行動を起こすのですが、とにかく行動の一つ一つが山中さんの
穏やかな声音と相まって、どことなく母性本能をくすぐられてかわいいんです! 山中さんが穏やかなトーンで紡がれる台詞の一言一言に
テルへの愛情がにじんでいて、聞いているこちらも思わずヒロと一緒に樋野山の恋路を応援したくなってきます。テルの行動に一喜一憂しつつ、
何とか彼に好かれようと努力をする様が何とも微笑ましい! 臆病で不器用な樋野山のはにかんだシャイな表情に胸がキュンとさせられます。
そんな樋野山に思いを寄せられるテル。ちなみに、幼なじみのヒロとは、長いつきあいのため、砕けて心を許している感じで、樋野山とのやりとりは、
特に最初はあまり表情を出さず、無気力に受け流してほしいという先生からのリクエストがありました。
ヒロ相手では素の状態で、樋野山相手には最初は抑えめに…と相手によって、演技プランを変えつつ、羽多野さんがテルの魅力を存分に表現して下さっています。
そして樋野山に発破をかけつつ、二人を取り持とうとするヒロ。ここでは盛り上げ役はもちろん、真剣な表情を垣間見せるシーンも。
下野さんがふり幅大きく、早口で怒涛のように畳み掛けたり、落としたトーンで呟いたり、優しく語りかけたり…。
二人の間をつなぐ重要な鍵として存在感を放っています。
テルにいいところを見せようと、彼の苦手なゴキブリ退治をかって出る樋野山。
樋野山の想いに気付き、戸惑いつつも、真摯な彼に段々惹かれていって…。
ヒロの後押しを受け、樋野山がテルに思いを告白するシーンは、ぜひ聞いて頂きたい場面です!
山中さん演じられる奥手な樋野山の告白がかわいくかつかっこよく、それを受けて照れるテルがかわいくてたまらない!
二人のやりとりが何とも甘酸っぱく、早くくっついて幸せになってほしいなと思わずにはいられません。
樋野山×テル。ゆっくりと近づいていく二人の恋愛模様に浸ってください。
以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編の収録が終了。
前半のススム×モドルは切なくシリアスなストーリー、後半のテル×ヒロ、樋野山×テルの物語はとにかく楽しく明るくと どこをとっても聞き所満載の作品となりました。
隅々までじっくりお聞き頂ければ幸いです。
そして、購入特典の「興津さんと川原さん、下野さんと羽多野さんと山中さんのフリートーク」では、共演のご感想、印象に残ったシーン、作中のお気に入りの
台詞について、作品の内容について等、盛りだくさんになっています。ずっと抑えたトーンでの収録から解放されて、超ハイテンションの興津さんと川原さんと、
収録中の盛り上がりそのままに、こちらもハイテンションの下野さんと羽多野さんと山中さん。
どちらも笑いいっぱい、楽しい内容になっています。ぜひゲットして下さい!
SHOOWA先生の描かれた独特の世界観、魅力的なキャラクターを音で表現できるように、こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも拘らず「お疲れ様でした!」とさわやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れさまでした!
2015年6月28日発売「新装版 Nobody Knows」。皆さんぜひお楽しみください!!
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