※本レポートには作品のネタばれが含まれますのでご注意下さい。

都内某日。ドラマCD「同人に恋して」の収録が行われました。

収録当日、スタジオに入って皆さんが揃うのを待っていると、次々にキャストの方々が集まって来られます。
和気藹々として、楽しい雰囲気のキャストの皆さん。明るいムードの中、収録開始を待たれます。
全員が揃ったところで、キャスト全員の紹介、原作者の猫野先生のご挨拶が行われ、いよいよ収録がスタートします。

まず初めに各キャラクター設定のためのテストが行われます。
各キャラクターについて先生におうかがいしたところ、 「芳史は頑張らなくても平均点をとれちゃうような人で、芯は男前、 でも普通っぽさを出して頂けると嬉しいです。
壱都は嫉妬したり、喜んだり、とても素直な可愛いキャラです。 乙女っぽさ、そして好きなら一直線に突き進んでいく感じを出して頂けると…。
それから渡辺はクールだけど仕事に情熱を持っていて、情熱を持っている人が好き。恋愛自体に興味はありません。
尾崎は自信あふれるお兄ちゃんですが、頼りないところもあるキャラです」

とのご説明を頂き、キャストの皆さんへ伝えられました。皆さん、大きく頷かれた後「よろしくお願いしまーす！」という元気な声がスタジオ内に響き、
テスト収録開始です。
数シーンを演じていきながらそれぞれのキャラクター設定を行います。

有馬芳史役の鈴木達央さん。
しっかり者で男前。そういう部分もありつつ“普通の人”であるということを意識して、との難しい演技プランに「普通っぽさをどう表現しよう…」と悩まれていました。
ですが、声の高さや圧を変えたり、緩急をつけたりしながら、普通っぽさ、男前さ、 しっかり者…などの芳史のもつ魅力を絶妙なバランスで演じてくださいました。
とにかく“普通さ”を意識していこう、というプロデューサーからの言葉に、 鈴木さんが神妙な面持ちで頷かれていました。

望月壱都役の羽多野渉さん。
テストでは、どことなく中性的なふんわりとした雰囲気で演じてくださいました。
ヘタレイケメンな感じがなんとも素敵です！　 基本ラインはそのまま、芳史との声のバランスと壱都のテンションの上下が激しい性格から、
場面場面にあわせて声のトーンを調整して頂くことになりました。
職業が芸能人ということで、芸能人オーラを意識して声のトーンを落としてみたり、 好きな人・芳史の前ではトーンを高くし、壱都の素の部分を前面に出したり…。
また、コメディ的な部分とそうでない場面とにギャップを持たせるため、シリアスな場面とギャグっぽい場面とにも声の高低差や強弱をつけて、
メリハリをつけて表現して頂けるよう伝えられました。

さらに本作では、壱都が描いた同人誌の内容も鈴木さんと羽多野さんに演じて頂くのですが、漫画の中の人物は
『壱都のイメージする芳史と壱都』であるということで、現実のキャラ設定とは少し違った雰囲気で演じて頂くことになりました。
漫画中の芳文（※１）は男前な部分も残しつつも、可愛く素直に。また、壱都はきりっとしたイケメン！　な雰囲気を前面に押し出して演じて頂くことになりました。
（※１　原作同様、同人誌の中での芳史は“芳文”と表記しております）

渡辺茜役の遊佐浩二さん。
渡辺は壱都のマネージャーで、壱都が暴走した時は素早くフォローし、駄々をこねた時は容赦なくひきずっていく…しっかり者のマネージャーかつ、
影の支配者的な人物です(笑)。つけいる隙のないような完璧な男。
遊佐さんのクールで淡々とした口調が、渡辺の雰囲気にぴったりです！　基本のラインはこのままに、渡辺は感情を表に出ないキャラクターなので、
とにかく表情を出さないように意識して演じてほしいとの要望が伝えられました。

尾崎誠吾役の安元洋貴さん。
面倒見の良い兄貴分といった雰囲気を前面に出して演じてくださいました。
さらにかっこいいけれど、どことなくヘタレさもにじませてくださる安元さんの演技は、まさに尾崎！　こちらも一発OKで、テストのまま進んで頂くことになりました。

その他、各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、 キャラクター設定が終了しました。
物語は、同人誌印刷所勤務の芳史のところへ、疎遠になっていた高校時代の親友・現在は人気俳優の壱都が、
自身で書いた“壱都×芳文”のBL漫画を持ち込んできた場面から始まります。
印刷所で話している相手が芳史だと気付いていない壱都。８年間想い続けてきた彼への 気持ちを語るシーンでは、羽多野さんが愛おしそうに、
一言一言大切にセリフを紡がれます。
一方、突然の告白に驚きつつも、昔と変わらない壱都の姿と、彼の気持ちに嬉しく 思う様子を鈴木さんがセリフに乗せて、
芳史の複雑な心情を的確に表現してくださっています。
告白を受け入れた芳史に、抱きつき涙を流す壱都。冒頭からほっこりする可愛らしい展開に思わず笑みがこぼれてしまいます。

壱都を演じられる羽多野さん。
８年ぶりの再会をはたし、芳史と付き合い始めた壱都は、今まで離れていた時間を取り戻そうとするかのように芳史にべったり状態。
羽多野さんが声を弾ませたり、甘えた声、嬉しそうな声で壱都の幸せいっぱいな様子を表現してくださっています。
声を聞いていると、漫画そのもの、花やハートが飛び交っているような幸福感に包まれた壱都の姿が目に浮かびます。
また、壱都はとにかく感情のふり幅が大きいキャラクターのため、泣いたり、甘えたり、叫んだり…。全力で喜怒哀楽を表現する壱都に、
収録が終わるころには演じられた羽多野さんも思わずぐったり。 全力投球で熱演された羽多野さんにご注目ください！
ところかわまず「好き好き」とまっすぐに伝える壱都。こんなにも愛されている芳史がなんとも羨ましいです(笑)。

壱都の全身全霊の愛を一心にうける鈴木さん演じられる芳史。
まっすぐな壱都の想いに、芳史は少しずつ彼への愛を大きくさせていきます。
鈴木さんが、親友としての愛情から徐々に恋人への愛情へと移りかわっていく芳史の気持ちの変化を、物語を通して絶妙に表現してくださいました。
また、テスト収録の際、“普通さ”を表現することについてとても悩まれていた鈴木さん。ですが、壱都の言動に嬉しくなったり、照れたり、
ちょっぴりしつこい壱都に怒ったり。
俳優として有名になっていく壱都と平凡な自分との差に悩んだり、臆病になったりと、様々な表情をみせる芳史をとてもナチュラルに演じてくださいました。
人間味が感じられる鈴木さんの演技に、芳史というキャラクターがより一層身近に思えてきます。
“普通の人”を見事に表現してくださった鈴木さんの演技をぜひご堪能ください！

そして、原作ではコミカルな場面で三頭身（ちびキャラ）の可愛いキャラクターが描かれているのですが、
それを音で表現するため、鈴木さん、羽多野さんが声のトーンに緩急、強弱をつけ、試行錯誤しながら見事に演じ分けてくだいました。
音の世界での三頭身シーンも原作同様、とても生き生きとした面白い場面に仕上がっています。

・・・収録中、こんなエピソードが。
声を張ったりテンションを急上昇させたりと、非常に体力を消耗する場面が続きヘトヘトの羽多野さん。そんな羽多野さんに鈴木さんが心配しつつ、
終始はっぱをかけて励まされていました。
鈴木さんの言葉に促され、気合いも新たに頑張る羽多野さんが最後までフルパワーで壱都を演じてくださっています。
まるで壱都の背中を押してあげる芳史の関係を彷彿とさせるようなやり取りが印象的でした。

チームワーク抜群のキャストの皆さんのおかげで、収録はスムーズに進んでいきます。
ラブラブで可愛らしい芳史と壱都のやり取りに胸が温かくなったり、すれ違いや喧嘩にハラハラしたり、コミカルな展開に笑ったりと
息のあったキャストの方々の演技と面白いストーリー展開に目が、耳が離せません！

ラブラブながらも、なかなかタイミングがあわず体を繋げることが出来ない芳史と壱都。次こそはと決心した芳史がとった行動が、彼の体に異変を……！？
ハラハラドキドキ、笑いとラブが満載の本作。ぜひ実際にお聞き頂き、芳史と壱都の恋愛の行く末をお確かめ頂ければと思います。

また、本作の裏メインである渡辺と尾崎。本編ではわき役ではありますが、物語のスパイスとして存在感たっぷりに遊佐さんと安元さんが演じてくださいました。
遊佐さん演じられる渡辺。テンションの高い壱都とクールな渡辺の対照的な二人のやり取りがなんとも面白いです。
テンションは違えど、息ピッタリなテンポの良い二人のやり取りに思わず笑わずにはいられません。
また、仕事に行きたくないと駄々をこねる芳史を引きずっていくシーンでは、あまり感情を出さないキャラということで、遊佐さんが息だけで表現してくださっています。
さすがです！
そして、安元さん演じられる芳史の先輩・尾崎。出番は少ないながらも、兄貴肌たっぷりに演じてくださっています。
また、渡辺＆尾崎がメインの物語「同人に愛して」の伏線として、徐々に渡辺を気にしている様子をにじませながら演じてくださいました。
尾崎の微妙な気持ちの動きもお聞き逃しなく！

そして、肌を重ねるシーンでは、現実世界でのゆっくりと愛を育む姿や、壱都の妄想（漫画）世界での濃厚なシーンといった様々なイチャイチャが収録されています。
初めての触りっこや初めておしりを…♥　なシーンなど、二人のお互いを想いあう気持ちが溢れたラブラブシーンになっています。
そして壱都の妄想場面では、監禁して…♥　学生時代の二人が学校の視聴覚室で…♥　と現実での二人のシーンよりもちょっぴり激しい場面に仕上がっています。
さらに、同人誌内で登場する学生時代の二人が視聴覚室で肌を重ねるシーン。 今回はなんと、ドラマCD版として原作よりも♥シーンを増量してお届け致します！　
かっこ良くて天然な言葉攻めをする壱都と色気あふれる芳文の濃厚なシーンにドキドキさせられること間違いなしです。
二人のラブラブなやり取りをぜひお聞きくださいね！

以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。
本作は原作の楽しい雰囲気そのままに、コミカルなテイストで進んでいきますが、その中にしっかりと壱都と芳史の心の成長、繋がりが描かれています。
ゆっくりと進んでいく二人の愛のストーリーに、鈴木さんと羽多野さんをはじめとする素晴らしいキャストの皆さんの熱演によって、
原作同様に素敵な作品に仕上がりました。

そして、特典ミニドラマCD。こちらはコミックス掲載エピソード「同人に愛して」を音声化したものになります。
本編でわき役だった尾崎と渡辺がメインとなり、大人の恋愛模様を繰り広げています。
ひょんなことから体の関係を持つようになった二人。その先に待っているのは――？
遊佐さん、安元さんが本編では見せなかった渡辺と尾崎のシリアスな表情をみせてくださっています。
攻め立てても、無反応な渡辺を感じさせようと頑張る尾崎の可愛らしいシーンや、無感情・無反応な渡辺が一瞬甘い吐息をもらすシーン等、
本編からは想像できなかった二人の顔が満載です。
また、特にお勧めなのが、物語最後の尾崎の告白シーンです。
安元さんが感情を爆発させて、尾崎の熱い想いを表現してくださっています。尾崎の全力の告白には聞いているこちらも思わずキュンとなってしまいました。
そしてそんな尾崎の姿に無感情だった渡辺に変化が…！　遊佐さんがほんのり照れた渡辺の表情を絶妙な加減で表現してくださり、
普段のクールな渡辺とは違った顔に萌えてしまうこと間違いなしです！　ぜひ手に入れてお聞き頂ければ幸いです。

猫野先生の描かれた魅力的なキャラクターを音で表現できるように、こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも拘らず「お疲れ様でした！」とさわやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れさまでした！
2014年1月28日発売「同人に恋して」。皆さんぜひお楽しみください！！

 

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