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Recording Report

≠(ノットイコール) 収録レポート


※本レポートには作品のネタばれが含まれますのでご注意下さい。

『≠(ノットイコール)』の収録に行ってまいりました。
収録当日は朝早くから次々とキャストの皆さんがスタジオ入り。
スタジオ内は収録前から、わきあいあいとした雰囲気に包まれていました。
キャストの皆さんが揃ったところで、それぞれの自己紹介と原作者の池先生のご挨拶の後、 テスト収録へ。
数シーンを演じていきながらそれぞれのキャラクターの設定を行います。

本作は、時間軸、そしてそれぞれの関係性が複雑に入り組んだ内容になっているのですが、それらを踏まえた上で、
それぞれ難しいキャラクターをどのように演じるべきか、テストをしながら綿密なディスカッションが行われました。

芦塚凉を演じられる鈴木さん。
おしゃれな今時の高校生ということで、年齢の若さを意識されつつも、かっこよく、どこかやんちゃさも感じられる雰囲気で演じて下さいました。
まさにイケメン高校生! といった感じがにじみ出ています。

末続果を演じられる野島さん。
今回は場面に応じて、大人(30代)と子供(10代半ば)の果を演じなければなりません。
大人の果は、低く落ち着いたトーンで、しっとりした、何とも色っぽい雰囲気がとってもかっこいいです!
一方子供の果は、大人の果と違いをより表現するために、かわいく幼い雰囲気で演じて下さいました。
大人の時に比べ、少し快活なふるまいが何とも魅力的です。さらに、大人の果を彷彿とさせるために、
かわいい中にも色気を滲みだしてほしいという難しいリクエストが出ました。

メインキャストのお二人とも、先生のイメージどおりということでテストは一発OK。
他のキャストの方々を含め、さらに細かい指示が伝えられました。

いよいよ本番がスタート。
本作は、心理描写が繊細かつ複雑に入り組んでいる作品です。
そのため、収録中、場面場面でそのキャラクターがどういう認識でいるのか、どう思っているのかという話し合いが幾度となく行われました。
例えば、冒頭の凉が九州の果の家を訪ね、父子が久しぶりの再会し、果が激しく驚く場面、

野島さん 「ここって、果としては、22年ぶりに好きな人が表れたという認識なのか、息子の凉が来たという感じなのか、どちらがいいでしょうか? 
あの凉と息子の凉が…ってことはこの時点では確定してないですよね? …とすると、ここの果はどんなスタンスがいいでしょうか?」
先生 「昔のあの好きだった凉だとは気付いていないけど、でも息子だとも気付いていないですね。
昔、好きだった人と似た人が急に表れて驚いたという感じでしょうか」
野島さん 「分かりました」

と、とりわけ果役の野島さん、場面ごとに、果の置かれている状況や心情についてしっかりと確認をされていました。

それぞれ、細やかな心理描写の確認を行いつつ、冒頭からキャストの皆さんの息ぴったりの演技に、収録はスムーズに進んでいきます。

凉を演じられる鈴木さん。心情を語るモノローグやナレーションの部分では落ち着いたトーンで、台詞の部分では明るく振舞ってみたり、
子供ぶってみたり…とメリハリをつけて凉を表現して下さいました。鈴木さんの演じられる生き生きとした躍動感あふれる凉が、
物語をパッと明るくしてくれます。
表情豊かな凉がなんとも魅力的で、こんな男の子が自分の前に現れたら、好きになってしまうのは仕方ない…と
つい思わずにはいられないかっこよさです!

そんな凉がタイムスリップして出会った、少年時代の父・果。
現代の父親からは想像もできないくらいの幼さや不器用さを微笑ましく思いつつも、彼と一緒に暮らすうちに、その心情にだんだん変化が訪れます。
果の孤独に触れ、どんどん惹かれていく凉の戸惑いや揺れ動く心情を繊細に表現して下さる鈴木さん。
父だと知っているのに、それでも惹かれるのをやめられない。果を一人にさせなくない、俺がずっと一緒にいたい…。
隠し事をしている後ろめたさや、元の世界に戻れないかもしれない不安の中、どこか父性を感じさせる果の優しさや温かさに触れ、
彼を愛するようになる様を声のトーンや話し方を微妙に変えつつ、絶妙に表現されています。鈴木さんの演じられる凉の感情の動きにご注目下さい!

果役を演じられる野島さんは、36歳の父親と、14歳の少年時代という難しい役柄を熱演して下さいました。
両親とうまくいかず、亡くなった祖母の家で一人暮らす14歳の果。
幼いかわいいトーンの中にも、どこか陰のある、悲しさを滲ませた演技によって、果の心情や寂しさが痛いほど伝わってきます。
野島さんの震える息や紡ぎだされる台詞が、切なく胸をうちます。
そして、突然現れた凉に振り回されながらも、彼の存在に癒され、心惹かれていく果。
徐々に心を開いていくその心情の移り変わりが、野島さんの繊細な演技によって表現されています。
思わず、凉と一緒になって「かわいいな」と思わずにはいられません!

台詞の一言一言にも意味があり、どうなるのかハラハラドキドキ、聞きどころ満載の本作なのですが、
中でもスタッフおすすめの場面は、裏山の上から精霊流しを二人で眺める場面です。
寂しげな果に、「俺と…友達になる…?」と凉が声をかける場面。
無意識に凉が果に恋情を抱いているのを感じさせる、この呟きが何とも絶妙なさじ加減で、胸がキュンとさせられます。ぜひ耳を凝らして聞いて下さい!

さらに、二人が庭先で線香花火をする場面。誕生日のお願いとして、果が凉に言う「もっと仲良くなりたい」という台詞があまりにもけなげで切なく、
思わず胸が苦しくなります! 不器用な果と凉の距離がぐっと近づくこの場面、鈴木さんの囁き声と息遣いが何とも色っぽく、
また野島さんの涙ぐんだ震える声音がたまりません! 
お二人の醸し出す空気感から、切なくも幸せな、二人を取り巻く夏のにおいすら感じられるような、余韻のある素敵なシーンに仕上がっています。

さて、凉と果、二人の心の距離がどんどん縮まっていくのが感じられる本作ですが、恋愛のドキドキと同時に、
そこには終始どことなく寂寥感や背徳感が感じられます。
聞いているこちらが二人の本当の関係性を知っているからこそ、幸せそうな場面でも、
どこか胸が苦しくなって「何でもいいから幸せになって!」と思わずにはいられません。
全編を通じてそう思わされる、お二人の原作の世界観を忠実に表現した空気感をぜひ感じて頂ければと思います。

どこか寂しい者同士、心が結びつくのは当然。
心と体が重なり、愛し合ったと思った瞬間、突然の別れが訪れてしまいます。
凉が元の世界に戻った瞬間、待ち受けていたのは…。
事実を知った37歳の果の衝撃と驚き。野島さんが振り絞るように紡がれる果の慟哭があまりに切なくて、
苦しくて息ができなくなりそうでした。

22年前、確かに愛し合っていた二人。しかし衝撃の事実の前に、二人はどうなってしまうのか…? 
切ない二人の恋愛模様をぜひ聞いてお確かめ頂ければと思います。

そして、肌を重ねる場面では、15歳の果と凉の愛にあふれた素敵なシーンに仕上がってます。
とても熱を入れて演じて頂いていて、戸惑いつつもどこか色気溢れる果と、凉の愛故のがっつきっぷり(笑)がたまりません! 
二人のラブラブいちゃいちゃを微笑ましく思いつつも、どこか切ない雰囲気の漂う、
聞きごたえたっぷりの場面に仕上がっていますので、お楽しみに!

本編終了後、購入特典のフリートークでは、野島さん&鈴木さんが楽しいお話を繰り広げて下さっています。
科学好きのお二人のSFについての熱いお話、共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話がいっぱいです。
もしお二人がタイムスリップできるとしたらどこに行きたい? など大盛り上がり。
とにかく笑いたっぷり、とっても面白い内容になっています! お楽しみに!

池先生の書かれた、登場人物たちの繊細な心理描写と感情の揺れ動きを余すところなく表現できるよう、
こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも拘らず、「お疲れ様でしたー」と笑顔でスタジオを後にされたキャストの皆さん。本当にお疲れ様でした!
12月28日発売、『≠ ノットイコール』。皆さんぜひお楽しみに!

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