先日、都内スタジオにて『散る散る、満ちる』の収録が行なわれました。
収録当日。続々とキャストの皆さんがスタジオ入りされます。
スタジオ内は収録前からにぎやかな雰囲気に包まれていました。
全員が揃ったところでテスト収録へ。
数シーンを演じて行きながら、それぞれのキャラクターの設定を行います。
如月春水役の野島裕史さん。落ち着いたしっとりとした台詞回しが如月のイメージにぴったりです!
基本のトーンはOK、さらに立場的にはできる上司であるという一面を考慮して、クールな表情と恋愛面で揺れ動くギャップを出して頂くことになりました。
また、如月の心情がこの作品の一番重要な部分であるということから、物語全般を通して如月の内面を細やかに紡いでいくようアドバイスが出されました。
里見幸一役の羽多野渉さん。さわやかで飾らない雰囲気がかっこいいです!
こちらもイメージそのものということで、そのまま本番へ進んで頂くことに。
さらに里見はあくまで20代半ばの普通の男性ということで、気取らずに、嫌味のないワンコっぽさを意識して演じて頂くことになりました。
榎本典役の谷山紀章さん。飄々とした雰囲気が榎本そのものです。
軽妙な語り口とさりげない存在感が絶妙です! さらに若干艶っぽさを少し心にとめて演じて頂くことになりました。
高橋比呂役の水島大宙さん。からっとした、芯のしっかりした雰囲気で演じて下さいました。
こちらも基本ラインはOK、本番ではホンワカしたかわいさを少しプラスして演じて頂くことになりました。
その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
テストも順調に終了したところでいよいよ本番がスタート。
物語は、如月のナレーションから始まります。淡々と、落ち着いたトーンでつむがれる如月の境遇と心情。
誰もいない家で「ハルチャン、オカエリ」と如月を出迎えるロボット犬のキンピラに、「…うん、ただいま」と答える如月。
愛しさ、優しさ、寂しさ、孤独…色んな想いをのせた一言に、思わず冒頭からぐっと胸が苦しくなります。
如月を演じられる野島さんは、如月の揺れ動く感情を一言一言に乗せて、とにかく繊細に表現してくださいました。
早くに家族を失い、孤独の中で生きる如月。仕事場ではできる上司ですが、家に帰ると一変。
犬型ロボットのキンピラをはじめ、動く玩具で溢れた中で一人静かに暮らすさまが何とも切ないです。明るくふるまっていても、どこかひっそりと漂う寂しさ。
ささいな頷きや息遣いからも、如月の内面の孤独が痛いほど伝わってきます。
そんな如月が一途に想いを寄せる部下の里見。彼の明るい飾らない雰囲気が、如月の寂しい心を明るく照らします。
里見の存在に癒されたり、傷ついたり……揺れ動く心情を細やかに表現して下さる野島さん。
家族を失った過去から、何かを失うことに怯え、なくすくらいなら最初から手に入らない方がいいと思いつつも、ひょんなことから身体の関係が始まり、
里見との関係が深まるにつれ、それでも彼を求めずにはいられない苦しさに、思わず聞いているこちらも胸が痛くなります。
里見が誰を好きでも、身代わりでもいい、今この関係が続けばいい…。
如月の切なく一途な愛情が苦しいほどで、思わず「幸せにしてあげて!」「里見、如月の気持ちに早く気付いて!」と聞いているこちらがもどかしく思ってしまいます。
とにかく物語全般、如月の孤独、悲しみ、里見への愛情など、如月の心情が全ての場面でじんわり、
でも確かに聞いているこちらの心をグッと掴む力強さで表現されています。
優しい雨のようなしみ入るような声のトーンで、野島さんが本当に細やかに演じられた如月の感情の動きにご注目下さい。
里見を演じられる羽多野さん。あたたかみのある、生き生きとした雰囲気が里見のイメージにぴったりでした。
如月と親しくなっていくにつれて、すねたりあせったり、どこかかわいい表情も見せて下さいます。
かっこつけたり、凹んだり…飾らない等身大の性格が何とも魅力たっぷりで、如月が好きになるのも分かるな、と思わず思ってしまいます。
羽多野さんの演じられる生き生きとした躍動感あふれる里見が、物語をパッと明るくしてくれます。
そんな陽の雰囲気に寂しい如月も惹かれたのかもしれません。
そんな里見、本当は甘えんぼで、世話好きな如月とは相性ぴったり!
作中繰り広げられる二人の何気ない会話のかけあいはテンポよく楽しく、「早く本当にくっついちゃえ!」と思わずにはいられません。
年下らしく如月に甘えたりする場面も多いのですが、そこはさすがの羽多野さん、何ともかわいらしくかつかっこよく、絶妙なさじ加減!
思わず胸がキュンとさせられます。
年下ワンコ攻めといえば羽多野さん(※あくまでスタッフの個人的見解ですが…笑)の魅力が全開です!
もちろんそんな甘えんぼの一面だけではなく、かっこいい場面もたっぷり。
里見が如月の家に初めて行く場面では、クールにふるまう如月の内面の寂しさを感じ取り、優しく声をかけます。
羽多野さんの思いやりに溢れた、あたたかい声音に思わず胸がグッと掴まれます。
感情豊かな里見を色鮮やかに表現して下さる羽多野さん。その魅力満載の演技に、どこかずるい一面すら許せてしまえるほど。
聞いているこちらも如月と一緒に一喜一憂させられることは間違いありません!
そして如月の幼なじみで親友の榎本役の谷山さん。
気取らないきさくな雰囲気が、谷山さんの軽快な台詞回しでより一層際立っています。
さらにどことなく色っぽい雰囲気もありつつ、如月と里見の間のスパイスとして存在感たっぷりに演じて下さいました。
一見ちゃらちゃらしている中にも、如月のことを本当に心配している友情が垣間見えて、本当に素敵なキャラクターです。
谷山さんのアドリブを含めた洒脱な演技がそんな榎本の魅力を十二分に表しています!
如月とのやりとりでは、里見に対してはかっこつけてしまう如月が本音や甘えを見せ、そんな彼を榎本がはっぱをかけたり、
優しく受け止めたりしつつ、あたたかく包み込みます。
如月と里見の関係をもどかしく思ったり、ずるいふるまいをする里見に怒りを隠せなかったり。
ずっと如月の側にいて、彼の孤独を間近に見てきているからこそ、如月の幸せを心から願い、彼を応援する榎本。
からかったかと思えば、優しい真摯な表情を見せたり…包容力に溢れた榎本が何ともかっこいいです!
もしかしたら、作中、リスナーの皆さんが一番共感できるキャラクターかもしれません。
ぜひ榎本と一緒になって、如月を応援して下さい!
そして、里見の想い人・高橋役の水島さん。里見に想いを寄せられつつも、全くそれには気付かずにいるというある意味罪(?)なキャラクターです。
その可愛らしい雰囲気に思わず萌えさせられることは間違いありません!
そんな明るくホンワカした性格かと思えば、苦しい恋愛に悩んでいたり、自分の想いに正直ですぐに行動に移したり、
芯の強い魅力的なキャラクターに仕上がっています。
外見はクールな美人で何でもできそうでありながら、うまく気持ちを素直に表現できない不器用な如月と対照的に、
かわいらしい外見ですが実は肉食系(?)の高橋。
如月を応援する立場としては、ともすれば嫌味にとられてしまいそうなところですが、そこはさすがの一言、
水島さんがぶれのない演技で絶妙に高橋の魅力を表現して下さっています。
自分の想いに素直で一生懸命。そして、相手のこともちゃんと想いやれる優しさもある。
里見には如月とくっついてほしい! と願いつつも、「この子もいい子だなぁ」と思わず思わされる、
一本筋の通った高橋というキャラクターを水島さんが色鮮やかに表現して下さっています。
物語のクライマックス、この高橋の存在が如月と里見の関係を大きく動かす一因にもなっていますので、お楽しみに!
さて、今回の作品はとにかくどこをとっても胸が苦しくなるような心に迫る場面ばかりで、
如月の繊細な心理描写、複雑な恋愛のもどかしい場面はもちろんのことなのですが、とくに聞いて頂きたいのが、ディスク2の後半のシーンです。
大阪に転勤することになった里見に如月が自分の想いを吹き込んだキンピラを渡そうとする場面、
ここからクライマックスにかけて、野島さんと羽多野さん、お二人の演技が本当に素晴らしいです!
離れていこうとする里見に何とか想いだけでも伝えたい。
如月は大事にしていたキンピラに自分の想いを吹き込み、里見に渡そうとします。
そんな必死な如月に対し、誤解した里見は冷たくふるまい、そして、如月の想いをのせたキンピラが壊れて――。
壊れて話さなくなったキンピラに涙ながらに声をかける如月と、泣いてしまった如月を抱きしめる里見。
ずっと孤独だった如月を支えてきたキンピラの喪失。そしてその後、やっと打ち明けられた本当の想い…。
涙ながらに語る如月があまりに切なくて、聞いているこちらも苦しくて息ができなくなりそうでした。
お二人の迫真の演技に、思わず涙をこらえるのに必死で言葉がでませんでした。まさにクライマックスにふさわしい感情と感情のぶつかり合いです。
そして、ワサビ二号のことや、誤解がとけた後、お互いの想いを伝えあう場面では、これまでの辛い想いが嘘のように晴れて、何ともすがすがしいです。
クライマックス、胸が痛くなるような心を揺さぶるシーンでありながら、最後には笑顔がこぼれるような幸福感に溢れた
素敵な場面に仕上がっています。必聴です!
そして、肌を合わせるシーンは、原作を忠実に再現した内容になっています。
酔っ払った里見に甘えたっぷりに翻弄される場面、失恋した里見を慰めようと如月から誘う場面、想いが通じ合って、愛情たっぷり、
幸せに溢れた場面。聞いているこちらが切なくなったり、萌えてキュンとさせられたりで大変な場面ばかりです(笑)。
どのシーンもそれぞれ原作の雰囲気を大事に丁寧に演じて下さいました。
ボリュームたっぷり、聞き所満載の場面に仕上がっていますので、お楽しみに。
登場人物達のやりとりに耳を澄ましているだけで、思わず胸がジーンとなってしまう、そんなシーンがもりだくさんのこの作品。
聞きながら、登場人物の心情とシンクロし、一喜一憂させられることは間違いありません。
こぼれる息一つまで細かく調整しながら、繊細な世界観を丁寧に紡ぎ上げました。
ぜひすみずみまで聞いて下さい!
以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。
本編終了後、購入特典のフリートークでは、キャストの皆さん方が楽しいお話を繰り広げて下さっています。
休憩中も笑いであふれていた仲良しメンバー、フリートークでも大盛り上がりです!
収録中の様子や印象に残っているシーン、キャラクターについてや共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話が詰まっています。
キャラに対する忌憚のない意見(笑)、谷山さんを使って●●しようとする羽多野さんの裏の顔(?)、
とあるテーマに異常に熱の入る皆さん…と、原作の繊細な雰囲気とは一変(笑)、
下ネタ含め盛りだくさんの内容になっていますので、皆さんお楽しみに!
2012年5月28日発売、『散る散る、満ちる』。皆さんぜひお楽しみ下さい!!
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