先日、都内スタジオにて『職業、王子』の収録が行なわれました。
収録当日。朝早くから次々とキャストの皆さんがスタジオ入りされました。
カトラカマル国の王子・リイン役の福山さん。砂漠物を意識して下さったかのようなターバンとポンチョ姿で颯爽と現れた福山さんに、
キャスト、スタッフ一同話題沸騰。スタジオ内は収録前から、わきあいあいとした雰囲気に包まれていました。
全員が揃ったところで、原作者の砂原先生のご挨拶の後、テスト収録へ。
数シーンを演じて行きながら、それぞれのキャラクターの設定を行います。
リインことリインシャール役の福山さん。
年齢は17歳ながら、王族ということで、気高く凛とした雰囲気で演じて下さいました。
高貴で品がありつつも、どことなく皮肉めいた台詞回しがキャラのイメージにぴったりということで一発OK。
更に、時折早い口調になってしまうところを、王族らしくゆっくりと話すことを意識して演じて頂くことになりました。
綾高大地役の日野さん。落ち着いた男っぽい雰囲気で演じて下さいました。
ふとした折ににじみ出る色っぽさが何ともかっこよく、たまりません!
こちらもイメージそのままということで、すぐさま本番へ。更に前半のモノローグなど、少しコミカルな部分は思いっきり出して、
シリアスな部分とのメリハリをつけて演じるようプロデューサーからアドバイスがありました。
リインの忠実な部下・サイード役の成田さん。感情の見えない、クールな雰囲気が素敵です!
どことなくミステリアスな、雰囲気たっぷりの演技にこちらもすぐさま本番へ。
その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
テストも順調に終了したところでいよいよ本番がスタート。
物語は、綾高の働くレンタルビデオ店に、アラビア装束姿のリイン達が来店する場面から始まります。
18禁のDVDを購入したいと言い張るマイペースで人の話を聞かないリインと、頑なに拒否する綾高の、勢いのある、
でもどこかずれた会話が笑いを誘います。
まさにああいえばこういうを地で行くような、丁々発止のテンポの良いやり取りに、
この後はどんな展開になるんだろう? とワクワクする気持ちがこみ上げてきます。
カトラカマル国の王子・ツンとしていて傲慢なリインを演じられる福山さん。
我侭放題に綾高を振り回したかと思うと、自国の将来を考える有能な政治家としての顔を見せたり、
様々な表情を見せる複雑なキャラクター・リインを福山さんが見事に表現して下さっています。
「今日からお前は私の奴隷だ」と皮肉たっぷりに笑うその姿が、まさにリインそのもの!
思わず平伏したくなってしまうほど、オーラ全開です! 言葉の端々からリインの気高さが伝わってきます。
そして、一方では妖艶に綾高を翻弄したかと思うと、思わず照れたりはしゃいだり、年相応の可愛らしさが感じられる一面も見せてくれます。
高慢で冷たいだけではないリインの内面を色鮮やかに表現して下さる福山さん。
更に、王族でありながらも、金髪碧眼という容貌のため不遇な過去を持つリイン。
毅然とふるまいつつも、どこか見え隠れする悲しみや弱さ――。物語が進むに連れて現れる、リインの心の内や本当の表情は必聴です!
強引にリインに自国へ連れて行かれてしまう綾高を演じられる日野さん。
声のトーンは低く男っぽいのですが、どこか人間味に溢れていて温かい人柄が伝わってきます。
飾らない雰囲気がとっても素敵です!
そんな日野さん、モノローグに加え通常の台詞も多く、大変な台詞量でした。
しかしそこはさすがの日野さん、飄々とした雰囲気で作品に取り組んで下さいました。
ヘビに驚いたりする場面では思い切り「ぎゃっ!!」とコミカルに振舞ったり、リインに意見する場面では、
思わず「かっこいい!」とドキドキさせられるような、男らしいキリッとした表情を見せたり……
テンションの上げ下げも激しいキャラクターですが、疲れを見せることなく、一本芯の通った性格の綾高を演じて下さいました。
リインと綾高のやりとりが大半を占める本作。
どこをとっても聞き所が満載なのですが、二人を演じられる福山さんと日野さんの熱い演技のぶつかりあいのため、
収録は終始白熱した雰囲気に包まれていました。
物語の序盤、他人を思い通りに動かし弄ぶリインに綾高が怒る場面。
人の心は誰のものでもないと声を荒げる綾高に、傲慢に振舞いつつも動揺を隠しきれないリイン。
お二人の熱の入った台詞のやり取りに、聞いているこちらが思わず息を飲んでしまうほどでした。
そして、サイード役の成田さん。落ち着いたトーンの中にも深みのある演技が何とも味わい深いです。
リインと自らの過去を綾高に語る場面では、淡々としていながらも、どこか物悲しく心を打ちます。
長く仕えてきたリインとのやりとりでは、彼への思いやりが台詞の端々からにじみ出ていて、思わず胸がジンとなります。
これまで辛い思いをしてきたリインに素直になって、幸せになってほしい――。
冷静な台詞回しの中にも、確かに見えるリインに対する愛情が、物語により一層深みを与えてくれています。
このサイードが物語の終盤、リインと綾高を結びつける上で重要な役どころになっていますので、ぜひご注目下さい!
その容貌ゆえに幼い頃から虐げられてきたリイン。回想シーンでは、7歳のリインも福山さんご本人が演じて下さっているのですが、
ここは必聴です! その可憐で可愛らしいことと言ったら!
こんなに可愛いリインがずっと辛い想いをしてきて、人を信じない気丈な性格になってしまったのかと思うと、
聞いているこちらが何とも胸が苦しくなってしまいます。
収録中、背筋を伸ばして、キッと前方を見ながらリインを演じられる福山さん。
その演技と後ろ姿から、強くあろうと振舞うリインの矜持が伝わってくるようでした。
そして、そんなリインを受け止める綾高。我侭王子かと思いきや、真摯に国のために動いたり、孤独に苦しむリインの姿に触れ、
だんだんと距離を近づけていきます。
日野さんの繊細な表現で、リインの行動に怒ったり、戸惑ったり、惹かれたりと、綾高の心揺さぶられる様がとても伝わってきます。
何だかんだ言いつつも、高い順応力でカトラカマル国に順応し、周囲の人と打ち解けていく綾高。
包容力溢れる日野さんの声音が、どこか懐の広い綾高にぴったりです!
家族の愛に飢え、自らの生い立ちに苦しんできたリインと綾高。
どこか心に空虚なものを抱えていた二人は、相手の抱える寂しさに触れ、肌を重ねたり、衝突したりしながら、
お互いに心を許し、惹かれあっていきます。
低く声をひそめて囁く日野さんと、吐息まじりに台詞を紡がれる福山さん。
そんな二人のやりとりには思わず聞いているこちらがドキドキさせられます。
二人の距離がどんどん近付いていく様子の変化を、福山さんと日野さんが繊細に表現して下さっています。
サイードをいれない寝所で抱き合い、リインにとって大事な場所である月の丘に二人きりで訪れたり――。
体を重ねることは多いのに、気持ちを言葉にすることはしない。確かに心は通じ合っているのに、
肝心な言葉を口にしない二人がもどかしくも切なく、終始胸が痛くて仕方ありませんでした。
キャストの皆さんの熱演に、収録は順調に進んでいきます。
そして、物語の終盤、物語は怒涛の展開を迎えます。
日本へ帰るべく、「空港の開港式典の日に混乱を起こし、それに乗じて国を出る」というラティーフの提案に乗ろうとしていた綾高。
リインへの想いゆえにその提案を断るのですが、時はすでに遅く……。
好きだから、幸せになってほしい。相手のことを側にいて守りたい――。
好きだから、幸せになってほしい。そのために、無理やり縛り付けておいた相手を解放しなければ――。
お互いへの想いゆえにすれ違うリインと綾高。
相手のことを愛しているのに、離れなければならない悲しみ。
分かってもらえないことに対する綾高のもどかしさと、愛した相手を手放し、孤独に苦しむリインの慟哭があまりに切なくて、
苦しくて息ができなくなりそうでした。
そして何と言っても聞いてほしいのが、物語のクライマックス・空港での別れの場面です。
もうこのシーンは涙なしには聞けません!
別れる前になって、初めてリインが口に出した綾高への愛の言葉。涙ながらに紡がれるリインの別れの言葉と、
綾高の最後のあがき。まさにクライマックスにふさわしい感情と感情のぶつかり合い。
息を飲んでしまうほどのお二人の熱演に、圧倒されることは間違いありません。胸がぎゅっと掴まれるような、
本当に素晴らしいシーンに仕上がっています。言葉は入りません! とにかく聞いて下さいっ!
愛し合いながらも、離れてしまったリインと綾高。二人はどうなってしまうのか…?
切ない二人の恋愛模様をぜひ聞いてお確かめ頂ければと思います。
そして、肌を重ねる場面では、サイードの同席する寝所でリインが強引に綾高と関係を持つシーン、
媚薬のせいでリインが快感に咽び泣く場面、綾高が行為の最中、日本語でリインに恥ずかしい言葉を言わせる場面、
月の丘で二人きり、激しく抱き合う場面…と、できるだけ原作に忠実に、回数も多いですが、
何よりどのシーンもそれぞれ熱を入れて演じて頂いています。
綾高を翻弄するリインの色っぽさ、艶っぽさはもちろん、物語が進むにつれ、逆にぐいぐいリインを攻める綾高の力強さが何ともかっこいいです!
お互いに惹かれあい、体だけでなく心を繋げるように、濃厚で、でもどこか切なさがどの場面もたっぷり、
聞き所満載の場面に仕上がっていますので、お楽しみに!
本編終了後、購入特典のフリートークでは、福山さん&日野さんが楽しいお話を繰り広げて下さっています。
ドラマCDでがっつりとかけあいをやるのは初めてというお二人。
それぞれのキャラクターについて、 共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話がいっぱいです。
福山さんと日野さんを二人を結びつけた方とは? 仲良くなったきっかけとは?
行ってみたい国は? など、とにかく笑いたっぷり、とっても面白い内容になっています!
何だかワールドワイドな(笑)こぼれ話もたっぷりつまっていますので、お楽しみに!
砂原先生の書かれた、登場人物たちの繊細な心理描写と感情の揺れ動きを余すところなく表現できるよう、
こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも拘らず、「お疲れ様でしたー」と笑顔でスタジオを後にされたキャストの皆さん。
本当にお疲れ様でした!
10月28日発売、『職業、王子』。皆さんぜひお楽しみに!
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