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Recording Report

おきざりの天使 収録レポート



※本レポートには内容のネタバレが含まれます。ご注意下さい。

先日『おきざりの天使』の収録に行ってまいりました。
収録当日。スタジオに次々とキャストの方々が集まって来られます。
今回の作品は学園物ということで、若いキャストの皆さんが元気いっぱい、スタジオは収録開始前から熱気に溢れていました。

まず初めに、原作者の夜光先生のご挨拶があり、「皆さんにお任せします。思いっきり怖くやって下さい」と仰る先生に、
「おーし思いっきり行こう!」と盛り上がるキャスト陣達。
さらに「みんな若くね! 高校生だから! 原作の世界観を大事にしていこう」というプロデューサーの言葉に笑いも出つつ、
なごやかに収録がスタートしました。

まずは本番前のテスト。本番さながらに数シーンを演じ、各キャラクターの声を決定していきます。

どこか陰のある高校生・圭一を演じられる武内さん。
静かで落ち着いたトーンが、何とも物憂げな雰囲気を感じさせます。
まさに薄幸の佳人、といったただずまいが圭一のイメージぴったりで、テストのまま進んで頂く事になりました。
そして回想シーンでは、7歳の圭一も武内さんご本人が演じて下さるのですが、元々高い美しい声質の武内さん、
17歳の圭一よりもさらに高くかわいい声で演じて下さいました。
スタジオに来られた時からずっと「7歳、大丈夫ですかね…?」と不安そうだった武内さん、OKのサインに笑顔を浮かべられていました。

生徒会長・高坂役の羽多野さん。
テストではかざらない、落ち着いた暖かみのあるトーンで演じて下さいました。
基本のラインはばっちり、更に「もう少しキリッとしたスーパー生徒会長って感じでもいいかも」と仰る先生に、
クールな感じの方がいいですか?」と尋ねられる羽多野さん。
暖かい雰囲気は持ちつつ、精神的に他の生徒達より一段上の感じを出してほしいというリクエストを、すぐにキャラクターに反映して下さいました。
何とも頼りがいのある生徒会長・高坂がとってもかっこいいです。
圭一の従兄弟・徹平を演じられる鈴木さん。
明るくやんちゃで、生き生きとした雰囲気がまさにキャラクターそのものということで、こちらもテストは一発OK。
更に、徹平は物語が進むにつれて、どんどん色んな表情を見せることになるため、場面場面によってメリハリをつけて演じて頂くことになりました。

その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。

物語は、幼い圭一の回想シーンから始まります。
両親と寄り添って眠る夜。圭一の嬉しげなナレーションにも拘らず、どこか嵐の前の静けさのような雰囲気が漂い、
ぐっと作品の世界に引き込まれていきます。

借金を苦に両親が自殺し、従兄弟の徹平の家で暮らしている圭一。
徹平とじゃれて高校生らしく明るく振舞ったかと思うと、ふと暗い表情を覗かせたり、高坂には可愛い恥じらいを見せたり…。
複雑な表情を持つ難しい役柄を武内さんが見事に表現して下さっています。
美形で人気者にも拘らず、周囲に対して一線を引いている圭一。
落ち着いた声音に心の奥に隠された想いを滲ませたり、短いセンテンスの中に様々な感情のニュアンスを載せなければならないキャラクターですが、
そこはさすが繊細な表現には定評のある武内さん。強弱をつけ語尾を震わせたり、細かいブレスや間、息を飲んで…と巧みな演技で、
一見抑えたトーンの演技の中にも圭一の心情が痛いほど伝わってきます。
この圭一の考えていることや行動が、本作の大きな『鍵』になっています。ぜひすみずみまで細かく聞いて頂ければと思います。

校内で圭一達を突然襲った、大きな地震。そこから物語は怒涛の展開を迎えていきます。
自分達を襲う予想もつかない展開に混乱し、怯えたり怖がったり、涙ぐんだりする圭一。
恐怖に震えながらも、高坂の傍にいたいと思う、その様子がもうたまりませんっ! 思わず高坂に同調して「守ってあげたい…!」と
思ってしまうような可愛さです。武内さんの演じられる、保護欲をかきたてられる圭一の姿は必聴です!

そして、そんな圭一に想いを寄せる高坂を演じられる羽多野さん。落ち着いた男っぽい雰囲気がとっても素敵です。
成績優秀、スポーツ万能、冷静沈着な生徒会長。ともすれば嫌味なキャラに聞こえがちですが、
羽多野さんがクールでありながらもどこか暖かみのある演技で高坂の魅力を存分に表現して下さっています。
自分たちを取り巻く異常な状況を冷静に対処しようと動く姿は、まさに頼れる男! といった感じで、圭一が惹かれるのも頷けるほどの男前っぷりです。
(余談ですが、収録の合間、羽多野さんが「こういう頼りがいのあるキャラを演じられて嬉しいなぁ」と喜んでらっしゃいました(笑)。)

一心に圭一を想う高坂。その熱い愛情にも胸がきゅんとさせられますが、普段は冷静な高坂が、独占欲をむき出しにしたり、
徹平に自分達の関係を見せつけて煽ったり、欲情をこらえきれなかったり…と、圭一への愛故に色んな感情を見せる場面も聞きどころです! 
作中、要所要所に高坂の人間味溢れる部分が垣間見られるシーンがちりばめられています。羽多野さんの演じられる高坂の様々な表情にご注目下さい。

そして、徹平役の鈴木さん。元気でムードメーカー的な徹平が登場すると、パッと周囲が明るくなるような鮮やかな存在感があります。
さらに、物語が進むにつれてどんどん変わっていく様子の移り変わりが素晴らしいです! 
圭一への気遣いや労り、疎外感や嫉妬。そして、これまで気付いていなかった圭一に対する本当の想い――。
愛憎渦巻く複雑な徹平の心情を、時に暗いトーンでボソリと呟くように、時に早口でまくしたてるように、変幻自在に表現される鈴木さん。
陽気に笑っていたかと思うと、平気な顔で周囲がゾッとするほど残酷な発言をしたりと、陰と陽が混然一体、振り幅の大きい徹平というキャラクターを、
熱っぽく演じて下さいました。この徹平の存在が、圭一と高坂の関係を動かし、更には物語終盤、驚愕の事実をつきつけるのですが……。

とにかく登場するキャラクター達が魅力的な本作品。メインのお三方以外にも個性豊かな面々が物語を盛り上げて下さっています。
特に注目なのが、ボードゲーム同好会部長・三木役の國分さん。
ボードゲーム同好会を部に昇格することに意欲を燃やすオタク青年という役どころです。
圭一や高坂達とのやりとりも多いのですが、先生からの「オタクっぽい話し方でお願いします」というリクエストに「オタクっぽく…?」と苦心されていました。
基本ラインはあまり抑揚がない感じで、でも喋り始めると興奮してすごい勢いでまくしたてるように、時に勿体ぶったり。
オタクっぽい喋り方の追求に余念のない國分さん。このキャラクターがどこかコミカルで、三木が登場すると思わずふふっと笑いがこぼれます。
かと思うと冷静で知性溢れる発言をしたりと、緊迫した物語のいいアクセントになっています。

更に本作は圭一と高坂、徹平の恋愛のやりとり以外にも、聞き所がもりだくさん。
もちろん全編を通してどこも聞き所なのですが、今回は映画さながらの怒涛の展開を盛り上げる細かいガヤにもぜひ耳をすまして
聞いて頂ければと思います。「リスナーさんに本当に怖がってほしいからね。思いっきりやってみよう」というプロデューサーの言葉に、
真剣な面持ちで頷かれるキャストの皆さん。
恐怖におびえる校内の場面では、大勢の若いキャストの方々が力いっぱい悲鳴をあげたり、叫んだり、聞いているだけで思わず震えてしまうほどの大迫力です! 
生徒達が逃げ惑うシーンも、思わず「おお…」と聞いているこちらが怖くなって縮こまってしまうほどでした。
生徒達が恐怖に耐えきれず、自ら屋上から飛び降りる場面では、ずらっと並んだキャスト陣が一人ずつ順番にアドリブで飛び降りる声を入れたり…。
まさにパニック映画の迫力そのままに、場面場面の背景を色濃くしてくれています。
ぜひ深夜、ヘッドホンでお楽しみ頂ければ、眠れなくなること間違いなしです(笑)!

キャストの皆さんの熱演に、収録は順調に進んでいきます。
想いが通じ合った圭一と高坂。低く声をひそめて熱っぽく囁く羽多野さんと、照れを滲ませた吐息まじりに台詞を紡がれる武内さん。
そんな二人のやりとりには思わず聞いているこちらがドキドキさせられます。追いつめられた状況の中、
二人の距離がどんどん近付いていく様子の変化を、武内さんと羽多野さんが繊細に表現して下さっています。

そして、ずっと守ってきた圭一を高坂に取られたくない。なぜ高坂なのか。なぜ自分じゃないのか。
愛し合う二人の様子に苛立ちを抑えきれず、激情を溢れさせる徹平。可愛さあまって憎さ百倍とでも言うように、
激しく圭一に詰め寄り想いを訴える徹平を、どこか狂気すら感じられるほど迫真の演技で表現される鈴木さん。
三人の愛憎渦巻く感情が交差する展開に、スタッフ一同、固唾を呑んで聞きいっていました。

……ずっと高坂と、二人でいたい。二人きりでいられればそれでいい。
極限状態の中、圭一の高坂への強い愛情の真意とは――。
キャストの皆さんの迫真の演技と演技のぶつかり合いをぜひ聞いて頂ければと思います。

追いつめられていく圭一と高坂、徹平。いつ誰が死ぬかもわからない恐怖の中、
刻一刻と物語はどんどん新たな展開を迎え、緊張感が増していきます。
怒涛の展開に、キャスト陣も驚異的な集中力で、スタジオにはピンと張りつめた空気が漂っていました。
思わず聞いているこちらも息ができなくなりそうな緊迫感で、収録中ドキドキが止まりませんでした。
圭一と高坂、徹平はどうなるのか? ラスト、驚愕の展開をぜひお楽しみ下さい!

肌を重ねる場面では、AV鑑賞をし欲情を堪えきれず愛撫しあう回想シーン、さらに二人が生徒会室で初めて結ばれる場面、
徹平に嫉妬し、過ぎるほどの独占欲を圭一にぶつける高坂。生きるか死ぬか、恐怖から逃れるために、がむしゃらに抱き合う場面。
できるだけ原作に忠実に、回数も多いですが、何よりどのシーンもそれぞれ熱を入れて演じて頂いています。
戸惑いつつも行為に溺れる圭一の色っぽさ、艶っぽさと、スーパー生徒会長・高坂の見せる熱さとがっつきっぷり(笑)が、どの場面もたーっぷり、
臨場感溢れる仕上がりで、聞き所満載の場面に仕上がっていますので、お楽しみに!

本編終了後、購入特典のフリートークでは、武内さん&羽多野さん、鈴木さんが楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録中の様子や印象に残っているシーン、キャラクターについてや共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話がいっぱいです。
本編の緊迫状態から開放されて「ふうー…(笑)」とまったり感に包まれた武内さん&羽多野さんのコンビの徹平いじりと三木いじり(笑)は、
笑いがこぼれること間違いありません。
そしてお二人からの鈴木さんへの無茶ぶりと、またそんな無茶ぶりに毒づきながらも(笑)飄々とこなす鈴木さんの、
三者三様、わきあいあいとした楽しいトークになっています。
マイペースな武内さんと、むしろ本当は圭一役がぴったり? の羽多野さん、謎かけ・たつっち登場? の鈴木さん…など、
盛りだくさんです。仲のよいメンバーでとにかく笑いたっぷり、とっても面白い内容になっています! 
収録中の様子はもちろん、それ以外の部分のこぼれ話もたっぷりつまっていますので、お楽しみに!

夜光先生の書かれた、映画さながらの手に汗握る物語と世界観を音で表現できるように、こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも拘らず、「お疲れ様でしたー」と笑顔でスタジオを後にされたキャストの皆さん。本当にお疲れ様でした!
2月28日発売、『おきざりの天使』。皆さんぜひお楽しみに!

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