先日『空に響くは竜の歌声』の収録に行ってまいりました。
収録当日。スタジオに次々とキャストの方々が集まって来られます。
仲のよいキャストの方揃いということで、スタジオは収録開始前から笑いに溢れ、わきあいあいとした雰囲気の中収録がスタートしました。
まず初めに行われるキャラクター設定のためのテストでは、数シーンを演じながら、龍聖、フェイワンをはじめ、
シュレイなど各キャラクターの声を決定していきます。
本作は同人作品のドラマCD化という初の試みのため、テスト前、キャラクターのイメージについて具体的なイメージが伝えられました。
運命に導かれ、エルマーン王国にトリップしてしまう守屋龍聖役の遊佐さん。
テストでは、元気で天真爛漫な雰囲気で演じて下さいました。その生き生きとした役作りに先生とスタッフ一同もにっこり。
全体の雰囲気はそのままに、龍聖は銀行員で28歳の一般男性ということで、あまり女性っぽくなりすぎないよう男っぽさを残しつつ、
現代人らしさを忘れないよう意識して演じて頂くことになりました。
竜が支配するエルマーン王国を統べる竜王・フェイワン役を演じられる近藤さんと小西さん。
本作の設定上、竜王は異世界から現れる竜の聖人『リューセー』の魂精(生命エネルギーのようなもの)を貰わないと生きていけません。
今回、『リューセー』の魂精が足りず、体が縮んでしまい成長できずにいる状態のフェイワンを近藤さんが、龍聖が現れ、結ばれて成長した後を
小西さんが演じて下さるのですが、一人の役を二人で演じるということで、それぞれ時間をかけて役作りを行いました。
成長前のフェイワン役の近藤さん。
10歳前後~18歳前後までと成長に応じて、声質を自在に変えて見事にフェイワンが成長していくさまを表現して下さいました。
その巧みな表現にはスタッフ一同感心しきり。かわいい声、少年っぽい声、青年風の声と、時間経過させつつもキャラがぶれることのない
演じわけが素晴らしいです! 更に、声は子供でも本当は大人で王様であることを意識して、声のトーンはそのままに、
ゆっくりした喋り口調や雰囲気で風格や威厳を出して頂くことになりました。
そして成長後のフェイワン役の小西さん。男っぽい成熟した大人の色気がムンムンです。
落ち着いた口調が王様らしい威厳と貫禄を感じさせ、カリスマ性のあるフェイワンのイメージそのものということで、
先生からも「素晴らしいです」とOKを頂き、そのまま本番へ。
エルマーン王国にトリップしてきた龍聖の世話をするシュレイ役の平川さん。
テストではソフトで落ち着いた、優しい雰囲気を前面に押し出してシュレイを演じて下さいました。
更に先生からの「フェミニンさはあまりなくてもいいです。クールな感じで…」とのリクエストに、
宦官であることを意識しなくてもよいかを確認される平川さん。
ディスカッションの末、そこはあまり意識しすぎず、凛とした雰囲気で演じて頂くことになりました。
フェイワンの従兄弟で親友・タンレン役の安元さん。飾らない暖かい雰囲気が素敵です。
先生・スタッフ一同「ばっちりです」とOKサイン。基本的にはおおらかで誠実な人柄のタンレンですが、
要所要所では勇猛な一面や苦悩する表情も出てくるため、場面や対する相手によって、強い顔を見せたり弱い部分を出したり、
メリハリをつけて演じて頂くことになりました。
フェイワンの大叔父・ラウシャン役の小杉さん。テストでは威厳たっぷり、貫禄の一言でした。
更に先生より「堅苦しい雰囲気のキャラなので固めに、芝居がかっているくらいの感じで」というリクエストがあり、
神妙な面持ちで頷かれる小杉さん。すぐさま演技に反映してくださり存在感のあるキャラクターになりました。
若いシーフォン(竜族)・メイファン役の代永さん。やんちゃな雰囲気がとってもかわいらしいです!
明るいハキハキしたメイファンに「かわいいです」と先生も納得のご様子。
このメイファンが後に全く違う一面を見せることになるのですが、「代永君の腕の見せ所だね!」というプロデューサーに恐縮しきりの代永さん。
同じくシーフォンでフェイワンの従兄弟・ユイリィ役の日野さん。穏やかな声音が優しいユイリィにぴったりです。
さわやかで男らしく、真面目な雰囲気で演じて下さいました。先生もすぐさまOKサイン。
その他のキャラクターの設定も終わり、いよいよ本番がスタート。
物語は、エルマーン王国の過去の回想シーンからスタートします。
竜の咆哮と燃えさかる劫火の中、物語をナビゲートするシュレイのナレーションによってぐっと本作の世界に引きこまれていきます。
平川さんの落ち着いた語り口が何とも雰囲気たっぷりで、冒頭からムード満点です。
運命に翻弄され、突然エルマーン王国にトリップしてしまう龍聖。
家を支える銀行員としてしっかりした顔を見せたり、エルマーン王国に来てからは、戸惑ったり、時に感情を爆発させたり、
かと思うと割と楽天的だったり…表情豊かな龍聖を遊佐さんが色鮮やかに演じて下さっています。
特に聞き所なのが、エルマーン王国に来てからの龍聖の心境の移り変わりです。
突然異世界に呼ばれ、男でありながら、王の妃になれと言われての戸惑いや怒り。
シュレイやフェイワン達と触れ合うことによって、彼らを理解していき、心が揺らぐ場面。
フェイワンの深い愛情に触れ、運命を受け入れようと決意する場面。そして、自身もフェイワンを愛するようになり、
心から彼と触れ合い愛し合うようになる…。龍聖の心の変化の表現はまさに妙技です!
声のトーン、息遣い、間、タイミング。場面場面に応じて遊佐さんが、全てのバランスを繊細に調整しつつ、
「ここもう少しこういう風に言った方が龍聖らしいかなぁとアドリブを含めながら、リアリティーのある龍聖を作り上げてくださいました。
遊佐さんの巧みな表現のおかげで、柔軟さを持った龍聖の魅力が全編を通して溢れています。
フェイワン(成長前)役の近藤さん。
最初は日本語を話す龍聖と、エルマーン語を話すフェイワンとで言葉の壁が立ちはだかるのですが、ここで一番苦労されたのが近藤さんでした。
物語の序盤、龍聖は日本語しか分からないため、エルマーン語を理解できません。シュレイは龍聖のお世話役として日本語を話すことができるため、
物語序盤の龍聖とフェイワンのやりとりでは、シュレイを通訳として解しての場面があります。
実は今回、エルマーン語はアラビア語風の造語になっています。「アラビア語風ってどんなんだろう…?」と頭を抱えられる近藤さん。
他のキャストの皆さんも「アラビア語…(汗)」と苦笑いを浮かべていらっしゃいました(笑)。ですが実際の演技の際には、さすがの近藤さん、
もうこれがまさにエルマーン語という堂々とした雰囲気と自然さに、「おお!」と一同感心しきりでした。
「さすがだね!」というプロデューサーの言葉にホッとした笑顔を浮かべられる近藤さん。
エルマーン語がどんな風になっているのか、ぜひCDを聞いてお確かめ下さいね。
(ちなみに物語の最初の方のガヤもエルマーン語です。このガヤにも皆さん苦心されていました(笑))
ディスク1は近藤さんの演じられるフェイワン(成長前)と遊佐さんのやりとりが主なのですが、
二人の初めての出会いから結ばれるまでの心情部分が丁寧に描かれています。
自分を好きになってほしいと真摯に語るフェイワン。近藤さんがまっすぐに熱く紡がれるフェイワンの想い。
運命や魂精のためじゃなく、心から龍聖を愛しているというフェイワンの愛情が、龍聖だけでなく聞いているこちらの心にも響いてきます。
愛しているからこそ、同情や義務で、餌を与えるように魂精を与えに来ないでほしい――。
自分の命が縮まっても相手に無理をさせたくない、自分を愛してほしいと願うフェイワン。
そしてそんなフェイワンの本音に触れ、揺れる龍聖は…?
そんな龍聖を支えるシュレイ役の平川さん。感情を抑えた、どことなくもの哀しい雰囲気がイメージぴったりです。
落ち着いた声音に心の奥に隠された想いを滲ませたり、押し出しを強くせずに、でも様々な感情のニュアンスを載せなければならないキャラクターですが、
そこはさすがの平川さん、幾重にも感情を重ねられた繊細な演技で巧みに演じて下さっています。
龍聖に一途に仕えつつも、彼にほのかな想いを寄せるシュレイ。
何気ない会話の端々から龍聖への忠誠や優しさを表現して下さる演技はさすがです!
一見クールな抑えめの演技の中にも、確かな龍聖への愛情や思いやりが伝わってきます。
そして何かと自分に絡んでくるタンレンには……? 複雑な生い立ちと立場のせいで、自分を殺したり卑屈になったり、
相手を受け入れられなかったり…とシュレイの苦しみや切なさが平川さんの震える声に載って、聞いているこちらの胸を打ちます。
このシュレイの存在が、物語を大きく動かす一因となっていますので、ご注目下さい。
そして、シュレイに想いを寄せるタンレン役の安元さん。
身分にこだわらない、剛毅で飾らない性格のタンレンを男らしく、魅力的に演じて下さっています。
従兄弟で友人でもあるフェイワンのことを思いやる場面はもちろん、シュレイを想う切ない愛情等も聞き所ですが、
何と言ってもタンレンの見せ場は拉致されそうになった龍聖を助けるシーンです。
龍聖を助けようとするアクションシーンは映画さながらの大迫力!
そして、助けた龍聖の『香り』に惑いそうになる場面のタンレンの行動といったらもう! 男・タンレンのかっこよさが全開です!
ラウシャン役の小杉さん。ねっとりした、あえて芝居がかったような台詞回しが何ともラウシャンそのものといった雰囲気で、とっても素敵です。
重低音ボイスが威厳を感じさせます。落ち着いているように見えて、龍聖の香りにやられてしまったり、大人の余裕を見せたりしたかと思うと、
メイファンと丁々発止のやりとりをしたり…ダンディーでありつつも、どこかお茶目な? ラウシャンにもぜひご注目下さい。
そしてメイファンを演じられる代永さん。まっすぐで純粋なキャラクターが魅力的です!
やんちゃで、龍聖にどんどん惹かれていく様子が代永さんの的確な演技で何ともリアルに感じられます。
メイファンが登場すると、その明るい声によって作品にパッと光がさします。
あどけないかと思うと、少し黒い部分もあったり、様々な表情を見せるメイファン。
抑えきれない龍聖へ想い故に、とんでもない事態を引き起こしてしまうのですが…。
物語の重要な鍵を握る場面、代永さんの演じられるメイファンの違う表情は必聴です!
そして、ユイリィを演じられる日野さん。落ち着いたあたたかい声音がユイリィの優しさをより引き立てています。
争いを好まない穏やかな性格のユイリィですが、さらわれた龍聖を助ける場面では、国境警備の第一人者らしく男らしい一面を垣間見せます。
日野さんの力強い台詞回しがとてもかっこよく、思わずドキっとさせられます。
とにかく登場するキャラクター達が魅力的な本作品。恋愛のやりとり以外にも、聞き所がもりだくさんになっています!
もちろん全編を通してどこも聞き所なのですが、成長後のフェイワン役の小西さんとラウシャン役の小杉さん、
タンレン役の安元さんが政治的な会話をしている場面。話している内容と、3人全員が見事なまでの重低音ボイスぞろいということもあって、
何だか不思議な迫力があります。ブースの中の他のキャストの皆さんからも思わず「いい声祭りだなー」「声ひっく!(笑)」という言葉があがっていました。
そして特に注目して頂きたいのが、物語のクライマックス、シュレイとユイリィの母・ミンファのやりとりの場面です。
シュレイだけでなく、龍聖、更にはフェイワンまでを殺害しようと目論んでいたミンファ。シュレイとミンファの因縁とは――。
ミンファ役の大ベテラン・横尾まりさんと、相対するシュレイ役の平川さんの緊迫感溢れる台詞のやりとりは、思わず息を飲んでしまうほどの迫力です!
その場にいたキャスト、スタッフが全員が、思わず無言で聞き入ってしまいました。
その他、恋愛場面以外にも素晴らしい場面がたくさんちりばめてられますので、細かく耳をすまして聞いて頂ければと思います。
紆余曲折を経て、心も体も結ばれたフェイワンと龍聖。
龍聖の魂精を十分にもらって、体が本来の年齢の体に戻ってからのディスク2は、近藤さんから小西さんの演じられるフェイワンにバトンタッチ。
ここからのフェイワンはとにかく優しさと甘さがたーっぷりです。それまでうまく気持ちが通じ合わなかったり、苦しんだりした分、
結ばれてからの二人のやり取りがとても幸せそうで微笑ましく感じられます。
とにかく優しく、龍聖への愛情と彼を大事にしたいという想いを押し出して演じて下さる小西さん。
その優しさと愛情たっぷりの声音に、思わず聞いているこちらもメロメロになってしまいそうなほどのかっこよさです。
繁殖力の低いシーフォン(竜族)は、竜の聖人である『リューセー』が竜王の子供を産むことで、その影響を受けて子孫を反映していくのですが、
自分の父である前竜王と母の前リューセーの悲しい思い出故に、龍聖が嫌なら、お前を苦しめてまで子供がほしいわけではない、と語るフェイワン。
自分のせいで母を失った悲しみ。そして父までも自分のせいで…。エルマーン王国の行く末さえも左右される問題でありながらも、
その言葉には、癒しきれない悲しみとそれ以上の龍聖への愛情が溢れています。
抑えたトーンで小西さんが紡がれる言葉に、フェイワンの心の奥底に隠した想いが滲んでいて、切なくも痛いほど胸を打ちます。
聞いていて思わず涙がこぼれそうになってしまいました。
そして、そんなフェイワンの想いを受け止めた龍聖。龍聖がフェイワンに返す台詞の一言一言に、温かさと愛情が溢れています。
フェイワンの心の傷を癒すような優しい言葉を、遊佐さんが慈雨のように穏やかに紡いでくださっています。
思わず幸せな気持ちになる、素敵な名シーンです。
肌を重ねるシーンでは、成長前のフェイワンと龍聖とのやりとりや、成長後のフェイワンと龍聖の愛情溢れた場面がもりだくさんになっています。
成長前のフェイワンとの場面では、一つになれた感激と急激に魂精が流れ込んできた苦しみがあったり、
成長後のフェイワンとの場面では、どの場面もとにかく愛情いっぱい、感激いっぱいのラブラブなシーンに仕上がっています。
濃厚かつ幸せに溢れた素敵なシーンです。
以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。
本編終了後、購入特典のフリートークでは、キャストの皆さん方が楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録中の様子や印象に残っているシーン、キャラクターについてや共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話が詰まっています。
もし異世界に行ってもうまくやっていけそうな人は誰? など、仲のよいメンバーでとにかく笑いたっぷり、とっても面白い内容になっています!
ぶっちぎりで票を集めた方はどなたなのか…? 収録中の様子はもちろん、それ以外の部分のこぼれ話もたっぷりつまっていますので、お楽しみに!
同人作品をドラマCD化ということで、初めての試みでしたが、独特の世界観と個性溢れるキャラクターを音で表現できるように、
こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でしたー」となごやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん。本当にお疲れ様でした!
12月28日発売、『空に響くは竜の歌声』。皆さんぜひお楽しみ下さい!!
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