4月、都内スタジオにて『恋のまんなか』の収録が行なわれました。
収録当日、続々とスタジオ入りされるキャストの皆さん。全員が揃ったところで、テスト収録へ。
数シーンを演じていきながら、それぞれのキャラクターの設定を行います。
ドラマCD版『恋のまんなか』は、司と千歳、二人を取り巻く環境と彼らの心情を丁寧に描いた作品です。
原作の壊れそうなほど繊細な世界観を表現するため、キャラクター設定では入念なうちあわせが行われました。
「二人とも若いからね、年齢を意識してね」とアドバイスをするプロデューサーに「がんばります(笑)」と武内さんと鳥海さん。
二人とも10代半ばと年若いキャラクターを演じなければいけないため、かなりキャラクター作りに力が入ります。
テストでは声のトーンを変えたり、テンポを変えたりと数パターンを演じて頂きながら、基本ラインを調整していきます。
司を演じられる武内さん。テストの時点では、かよわさと儚げな雰囲気を前面に押し出したキャラクターで演じて下さいました。
若さを意識して、高いかわいらしいトーンで司を表現して下さる武内さん。
テストの段階からイメージぴったりということで、そのまま本番に進むことになりました。さらに「意識しすぎてわざとらしくならないように。
でもかわいいラインは持続してほしい」という細かい演技指導に、「はい…(笑)」と微笑まれる武内さん。どことなく雰囲気が司と重なります。
千歳を演じられる鳥海さん。
若々しさを意識しながらも、どこかひねたところのある飄々とした千歳がとっても素敵です! こちらも基本のラインは一発OK。
少し年齢を意識するあまり力が入ってしまうところを、声を高くするというよりもニュアンスや台詞回しに子供っぽさを出すことで表現し、
力を抜いて演じて頂くことになりました。
綿密なディスカッションの後、その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
物語は、司と千歳の日常から始まります。大人っぽい千歳にあこがれる司。そんな司にちょっかいをかける千歳。
軽い雰囲気の千歳と内気な司。突然のふれあいに、司のドキドキ感が伝わってきます。
冒頭からまさにキャラクターそのもののお二人の演技に物語の中にぐっと引き込まれていきます。
一之瀬司役の武内さん。千歳の言動に振り回され、一喜一憂する様がとても可愛らしいです!
声を震わせ、弱々しいながらも千歳に一途に想いを伝える様子がとにかく胸をうちます!
どこか必死なまでのその想いが、武内さんの透明感溢れる声にのって痛いほど伝わってきます。
涙目の表情の多い司ですが、原作ではさらに「…」「っ」など、どこかたどたどしい独特の台詞回しが多く使用されています。
スタッフ一同、どんな感じになるのかな? と興味津々でしたが、そこはさすがの武内さん! 吐息や語尾の震えなどをおりまぜながら、
儚くも芯の強い司を絶妙に表現して下さいました。
かわいさと色っぽさ、弱さと強さの同居した難しいキャラクターを色鮮やかに表現して下さる武内さん。泣かされてばっかりに見える司ですが、
彼の一途な想いが二人の力関係を変えていきます。千歳と触れ合うこと、千歳に愛を与えることで、どんどん変わっていく司の変化の表現にもご注目下さい!
松原千歳を演じられる鳥海さん。一途に想いをよせてくる司を最初は邪険に扱いつつも、次第に司に心のよりどころを求めていく様が何とも切ないです。
一見落ち着いて飄々としているように見えますが、彼を取り巻く複雑な環境ゆえに、どこか不安定な一面があったりと、繊細な演じ分けが要求されました。
司が自分をどれだけ想っているのかを試すようなふるまいをしたり、自分勝手に彼を振り回しながらも、
それでも自分に愛情を向けてくれる司に安堵したり。口から出る言葉と、思っていることが違うアンバランスさ。
多面性のある千歳というキャラクターに、鳥海さんより場面場面で気持ちの解釈についての質問がありました。
コミックスでは独特の表情でキャラクターの感情を表現しているところも多いため、「ここのコマ、顔は笑ってるけど気持ちは笑ってないですよね?」
「千歳は口ではこう言ってるけど、本当はこう思ってるんですよね?」と、表情と心に抱える想いの違いを丁寧に確認される鳥海さん。
顔は笑いながらも心は泣いている、でもそんな顔は絶対に見せない、幾重にも重ねられた千歳の複雑な心情が、
鳥海さんの絶妙な間合いや息づかい、ニュアンスで痛いほど伝わってきます。何も感じていない風に振舞いつつ、
どこか寂しげにも感じられるその演技はまさに千歳そのもの。さまざまな表情を見せる千歳を声のみで表現された鳥海さんの演技はさすがの一言です!
また、千歳の過去の回想シーンでは、さらに輪をかけて若い千歳が出てきますがここは千歳のキャラクターを表現するにあたっての
重要なシーンということで、鳥海さんご本人が演じて下さることになりました。育ってきた環境ゆえにどこか淡々とした、
幼くも陰のある千歳を的確に表現して下さり一発OK。ほっとしたご様子の鳥海さんでした。
それぞれを取り巻く複雑な家庭環境ゆえに、行き場を失う二人。幼い二人の先の見えない旅路の途中、二人の心の距離が
どんどん近づいていく様は必聴です!
終始千歳に注がれる、真摯な司の想い。武内さんの紡がれる、優しさと包容力にあふれた愛の言葉に、思わず聞いているこちらまで
あたたかい腕で抱きしめられているような、泣きたくなってしまうような感覚さえ覚えます。
そしてそんな司の想いに触れ、恐れと安堵、愛を感じる千歳。飄々とした顔を捨てて、初めて本当の気持ちを吐露する場面では、
これまで素直になれず打ち明けられなかった千歳の想いがあふれ出しています。
想いのこもった鳥海さんの演技に、胸が痛くなるほどキュンとさせられることは間違いありません!
海辺の抱擁シーンは、本当の意味で二人が心から通じ合った、心が震える素敵なシーンに仕上がっています。
そして、二人が肌を合わせるシーンは、原作を全て忠実に再現した内容になっています。
意地悪な千歳に振り回される司の痛々しい場面、どこか寂しさを埋め合わせるような切ない場面、愛を感じて徐々に甘くなっていく場面、
愛情の溢れた場面。どのシーンもそれぞれ原作の雰囲気を大事に丁寧に演じて下さいました。どの場面も色っぽさはもちろん、
どこか切なさの漂う聞き所たっぷりの場面に仕上がっていますので、お楽しみに。
全く違うようでどこか似ている二人。心の中の欠けたピースをお互いの存在で埋めあうような、どこか歪な関係。
でも二人は純粋で、精一杯自分の居場所を探そうとしています。
これから彼らはどうなるのか。幼い二人の逃避行の行く末は――?
司と千歳。二人の何気ないやりとりに耳を澄ましているだけで、思わず胸が痛くなって涙がこぼれそうになる、そんなシーンがもりだくさんのこの作品。
こぼれる息一つまで細かく調整しながら、繊細な世界観を丁寧に紡ぎ上げた武内さんと鳥海さんの演技に、全編を通してじっくりと聞いて頂きたいと思います。
本編終了後、購入特典のフリートークでは、武内さん・鳥海さんのお二人で、楽しいお話を繰り広げてくださっています。
収録中の様子や、キャラクターについてなど、ここでしか聞くことが出来ないお話が詰まっています。
また、同じ事務所の先輩後輩コンビということで、リラックスした雰囲気で楽しいお話を繰り広げて下さっています。
繊細でシリアスな内容とバトルの多さ(笑)に、やり遂げた感たっぷりのお二人。お二人のまったりトークをお楽しみ下さい。
長時間の収録でお疲れにも拘わらず、「お疲れ様でした~」とにこやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れ様でした!
5月28日発売、『恋のまんなか』。皆さんぜひお楽しみください!!
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