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Recording Report

忘れないでいてくれ 収録レポート



※本レポートには作品のネタばれが含まれますのでご注意下さい。

4月、『忘れないでいてくれ』の収録に行ってまいりました。
本作品はDisc2枚組ということで2日間に分かれての収録となりました。収録レポートでは1日目・2日目それぞれの様子をお届けいたします。

■収録1日目
収録当日。スタジオに次々とキャストの方々が集まって来られます。仲のよいキャストの方揃いということで、
スタジオは収録開始前から笑いに溢れていました。
キャストの方々が揃ったところで原作者の夜光先生よりご挨拶があり、わきあいあいとした雰囲気の中収録がスタートしました。

まず初めに行われるキャラクター設定のためのテストでは、数シーンを演じながら、清涼・秦野をはじめ、塚本など各キャラクターの声を決定していきます。

他人の記憶を覗き、操作することのできる守屋清涼役の遊佐さん。
テストでは、低めで落ち着いたクールな雰囲気を前面に押し出して演じて下さいました。第一声からイメージぴったりの演技に、先生とスタッフ一同もにっこり。
更に全体の雰囲気はそのままに、他のキャストの方々とのバランスを考えて、声のトーンが低くなりすぎないよう演じて頂くことになりました。

捜査一課の刑事・秦野道也役の安元さん。艶のある重低音ボイスがまさに秦野そのもの!
冒頭の清涼との出会いのシーンではさらに押し出しを強く高圧的な感じに、そしてどんどん清涼に惹かれヘタレっぽくなっていく場面では、
本来の内面が出てくるということで、少し情けなさが出るように物語の進行度合い・関係性の変化によってメリハリをつけて演じて頂くことになりました。

清涼の友人・塚本役の檜山さん。
何を考えているのかわからない、曲者の雰囲気を出して演じて下さいました。先生も「ばっちりです」とOKサイン。
さらに言葉尻が軽い部分のあるキャラクターですが、お調子者ではなく、基本的にはどっしりしているということで、基本ラインは低めに、
飄々とした雰囲気はニュアンスで出してことになりました。
さらに黒薔薇などその他のキャラクターの設定も終わり、いよいよ本番がスタート。

物語は、清涼のクリニックのシーンからスタートします。他人の記憶を覗き、消すことのできる清涼。
独特の設定と遊佐さんの落ち着いた語り口に「どんなストーリーなのかな?」とぐっと作品の世界に引き込まれていきます。

クールビューティーでありながら、時に感情を爆発させたり、どこか子供っぽい一面を見せたりする清涼。
特殊能力はもちろん、重い過去があったりと、様々な顔を見せる複雑なキャラクターを遊佐さんが見事に演じて下さっています。
そんな遊佐さん、モノローグに加え通常の台詞も多いため、ほぼ全ページ喋りっぱなしでした。事件がらみの緊迫したシーンも多く、
難しい表現もたっぷり。しかしそこはさすがの遊佐さん、ひたすらマイクの前に立ちっぱなしでも疲れを見せることなく飄々とした様子で次々と
長台詞を畳み掛けられます。そのプロ意識には頭が下がるばかりです。
そんな多い台詞量に加えて、特殊な設定をどのように表現するか深く考えて下さる遊佐さん。どの場面もキャラクターの心情、動き、
相手との距離感を確認されながら役に真摯に取り組んで下さいました。台詞や返事の一つにも「今の清涼っぽくなかったかな? もう一回」
「もう少し意地悪っぽい方がいいかな?」
とちょっとした反応にも、アドリブを含めつつ細やかにキャラクターを表現して下さっています。
今回の作品の聞き所の一つでもある、清涼が人の記憶を見るシーンも、プロデューサーとディスカッションしながら演じて下さいました。
物語の鍵を握る清涼の特殊能力。CDではどんな風に仕上がっているのか、ぜひお楽しみに!

そして、秦野役の安元さん。傲慢さを滲ませての登場シーンから、どんどん変わっていく様子の移り変わりが素晴らしいです! 
物語序盤の清涼に記憶を覗かれ、トラウマを嘲笑われて激昂する場面、ぶわっと感情があふれ出たような熱い安元さんの演技は必聴です! 
幼い頃の辛い思い出が悲痛な叫びとなり清涼にぶつけられるシーンでは、ヒリヒリするような秦野の心情が胸を打ちます。
そして、激昂のあまり清涼に乱暴してしまった後、どんどん清涼に惹かれていくのですが、そこからは登場シーンの傲慢さはどこへやら…
どんどんヘタレていく秦野を安元さんが魅力的に表現して下さっています! 
最初が最初だけに、後半に行くにつれてどの程度キャラクターに変化をつけていいかを細かく確認される安元さん。
「清涼に心を開いてどんどん弱さを見せていくところがこのキャラの魅力だからね」というプロデューサーの言葉に神妙な面持ちで頷き、
原作イメージぴったりの秦野を表現して下さいました。

塚本役の檜山さん。怪しい雰囲気がありながら、頼りがいのある塚本になりました。基本的には掴みどころのないキャラクターですが、
要所要所でサラッと清涼を導くその様子は、檜山さんの巧みなさじ加減で押しつけがましくない、何とも魅力的なキャラクターになっています。
そんな塚本ですが、何気ない清涼とのやりとりがとても素敵です! 
べたべたするわけではない、でも仲の良い雰囲気が台詞の端々に込められたさりげない空気感で伝わってきます。
秦野に対しては少し意地悪にふるまったりする清涼も、塚本には情けない部分を見せ、そんな清涼を受け止める塚本。
軽いニュアンスながらも、包容力に溢れた塚本が何ともかっこいいです!

キャストの皆さんの熱演に、収録は順調に進んでいきます。
肌を重ねるごとに、どんどん清涼に本当の顔を見せる秦野。男っぽい秦野が清涼に振り回されてワタワタしている様子や、
想いを伝えるシーンは、どこかかわいらしささえ感じられます。特に肌を重ねながらも、二人の関係を認めない清涼に秦野が
真摯に想いをぶつける場面は、思わず胸がキュンとさせられること間違いありません!
そして、表面では飄々としていながらも、まっすぐな秦野に戸惑いつつ惹かれていく清涼。
身体だけではなく、二人の心がどんどん近付いていく様子の変化を、遊佐さんと安元さんが繊細に表現して下さっています。
事件がらみのシリアスな内容の作品ではありますが、事後の二人のやりとりなど、夫婦漫才のようなコミカルなシーンもあり、思わず笑いがこぼれます。
シリアスな場面、コミカルな場面、色っぽい場面と、全編を通して遊佐さんと安元さんの掛け合いのテンポが絶妙かつ息もぴったりで、とても素晴らしいです! 

そして清涼と秦野が肌を重ねるシーンでは、そのシーンごとに清涼と秦野の関係と、お互いの心境が大きく違っています。
「1枚目からバトル多いね(笑)」とつっこまれつつも、二人の関係が進展していく上でどのシーンも重要ということで、
どのシーンも真剣に取り組んで下さいました。
それぞれのシーンごとに表現されている二人の感情を感じながら、息のあった演技をご堪能頂ければと思います。

ディスク1『忘れないでいてくれ』では、清涼の特殊能力や、清涼と秦野の出会いから、二人が事件を通して近づいていく様が描かれています。
飄々とした清涼とメロメロの秦野のやりとりはもちろんですが、清涼が特殊能力を使って人を操作していく様や、清涼と秦野、
二人が抱える重い過去など、とにかく密度の濃い内容になっています。
収録でありながら、キャストの皆さんの熱演と緊迫したストーリー展開に、内容を知っているにも関わらず続きはどうなるの? 
とドキドキが止まりませんでした! 収録2日目が待ち遠しいほどいい場面で、物語の前半部分、1日目の収録は終了となりました。

■収録2日目
2日目は、遊佐さん・安元さん・檜山さんをはじめ、本作の重要人物である幸田実・毅役の松本さんらも揃っての収録となりました。
先日1回目の収録を終えた清涼・秦野・塚本以外のキャラクターの確認が行われ、その後、テスト収録へ。

今回の物語の重要なファクターとなる幸田兄弟役の松本さん。兄・実と弟・毅は全く違う性格のキャラクターですが、
見間違うほど似ているという設定のため、あえて一人二役で演じて頂きました。
兄・実は穏やかな雰囲気で、弟・毅は残忍さと狂気を押し出して演じて下さり、夜光先生も大絶賛! 
そして、花吹雪先輩役の中川さん。登場シーンは多くありませんが、清涼の過去に大きく関わる大事なキャラクタ―のため、
細かいイメージが伝えられました。基本的には人気者、でもどこか浮世離れした芸術家タイプということで、やわらかい雰囲気で演じて下さり、
こちらもイメージぴったり。さらに、登場シーンが清涼の回想場面ということで、年齢を意識して演じて頂くことになりました。
どの方もキャラクターをしっかりと掴んでいらっしゃりすぐに本番へ。
2日目は物語が大きく動くシーンが多いため、入念な打ち合わせが行われました。

1日目に引き続き、遊佐さんには清涼を熱演して頂きました。クールで飄々とした姿や、うって変わって気持ちが高ぶった時の激しい怒り、
自分の過去にまつわる人物・幸田への憎しみ、復讐心。揺れ動く清涼の感情の動きを丁寧に演じて下さる遊佐さん。
物語が進んでいくにつれ、心情の変化が声のトーンなどから感じることができます。遊佐さんのモノローグにのせて、清涼の心情が心に響きます。
そして、過去の回想シーンでは中学生時代の清涼が登場します。こちらも遊佐さんご本人が演じて下さっています。若さのあるかわいい清涼もお楽しみに!

清涼にベタ惚れの秦野役の安元さん。過去のことを思い出し、また自分の両親を惨殺した犯人・幸田に近付き不安定になっていく
清涼を思いやる優しさが本当に素敵です。清涼にかける一言一言に、温かさと愛情が溢れていて、
終始真摯に表現される清涼への愛情に聞いているこちらが思わず胸がキュンとしてしまいます。

そして清涼が初めて両親の敵・幸田と対面し、自分の弱さに絶望するシーンは必聴です。
トラウマによって恐怖に抗えなかった自分自身に絶望し、秦野に自分を痛めつけてくれるように言う場面は、
秦野にだからこそその弱さを見せた清涼の心の内と、愛する人に自分を痛めつけろと言われた秦野の切ない想いが痛いほど伝わってきます。
不器用な二人。その後の肌を重ねるシーンも、色っぽくもどこか切ないシーンになっています。

幸田への復讐のため、秦野への態度を硬化させる清涼とそんな彼が心配な秦野。ぶつかり合う二人を、
檜山さん演じられる塚本がよい方向へ導いてくれます。軽い口調の中に力強い説得力と優しさが込められた言葉には、
塚本の懐の大きさとどこか従わずにはいられないような力に溢れています。

幸田兄弟役を演じられる松本さん。秦野の先輩刑事である兄・実と、その弟・毅はこの物語で重要な部分をしめるキャラクターです。
その演じ分けはまさに圧巻!
兄・実の落ち着いた雰囲気はもちろんのこと、彼の抱える苦悩が松本さんの演技でとてもリアルに感じられます。
そして何といっても、弟・毅の恐ろしさ! 特に清涼の回想場面のシーンでは、残忍な笑い声が耳に残って離れないほどでした。
清涼の恐怖が思わず聞いているこちらにも伝染するかのような、圧倒的な存在感がありました。

過去に自分をどん底に叩き落とした幸田に復讐心を燃やす清涼。憎しみにとらわれて頑なになる清涼と、そんな彼を心配し思いやる秦野。
刑事としての立場と清涼の苦しみを思って揺れる秦野の心情を安元さんが台詞の端々に滲ませて表現して下さっています。
罪と罰に対する価値観の違いゆえの二人のすれ違いが切ないです。

そして、松本さんの演じられる幸田兄弟が登場する度に、物語はどんどん新たな展開を迎え、緊張感が増していきます。
清涼と幸田兄弟が対峙する場面では、息を飲むような緊迫感で、収録中ドキドキが止まりませんでした。
そして、その場に秦野と塚本もかけつけ、物語のクライマックスはもうまるで映画のような大迫力! 
キャストの皆さんの迫真の演技と演技のぶつかり合いをぜひ聞いて頂ければと思います。
清涼はどうなるのか? 秦野はどうするのか? 二人の恋愛はどうなっていくのか? ラスト、手に汗握る緊迫の展開をぜひお楽しみ下さい!

また、ディスク2の肌を重ねるシーンは、思わず「酸欠が…」という呟きがもれるほど濃厚な仕上がりになっています。
原作の全ての色っぽい場面がCDにも収録されており、どのシーンも素敵に仕上がっていますので、お楽しみに!
以上、キャストの皆さんの熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。

本編終了後、購入特典のフリートークでは、遊佐さん・安元さん・檜山さんのお三方で、楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録中の様子や印象に残っているシーン、キャラクターについてや共演のご感想など、ここでしか聞くことが出来ないお話が詰まっています。
仲のよいメンバーでとにかく笑いたっぷり、とっても面白い内容になっています! 
収録中の様子はもちろん、それ以外の部分のこぼれ話もたっぷりつまっていますので、お楽しみに!

夜光先生の書かれた独特の世界観と個性溢れるキャラクターを音で表現できるように、こだわりにこだわった収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でしたー」となごやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん。本当にお疲れ様でした!
5月28日発売、『忘れないでいてくれ』。皆さんぜひお楽しみ下さい!!

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