『Three Wolves Mountain』の収録に行ってまいりました。
収録当日は朝早くから次々とキャストの皆さんがスタジオ入り。スタジオ内は収録前から、わきあいあいとした雰囲気に包まれていました。
全員が揃ったところで、キャストの皆さんの紹介が行なわれ、原作者の直野先生のご挨拶の後、テスト収録へ。
数シーンを演じていきながらそれぞれのキャラクターの設定を行います。
月原次狼役の鈴木千尋さん。
テストではかわいい雰囲気を押し出した次狼、元気な感じの次狼、柔らかさを出した次狼と数パターンを演じて下さいました。
巧みな演じわけを確認した後、かわいさを残しつつ基本は元気なラインでキャラクターを作って頂くことに。
クールな墓守・雪加夜役の緑川光さん。
第一声から落ち着いたクールな演技が素敵です!
更に先生より「基本的には暗い人なので影のある感じで、少しぼそっとした雰囲気で演じて頂ければ…」というリクエストが。
すぐさまキャラクターに反映して下さる緑川さん、さすがの表現力です!
そして次狼の兄・月原太狼役の楠大典さん。
男っぽい低い声音がまさにイメージ通りです。
テストの段階から、「太狼、かっこいい!」と全員が大絶賛! 野性味があり、かつどことなくあたたかい雰囲気のある、
まさにキャラクターそのものといった役作りにそのまま本番へ進んで頂くことになりました。
太狼&次狼の親族・燁姫役の鳥海浩輔さん。
テストでは明るくさわやかな雰囲気で燁姫を演じて下さいました。
燁姫の登場シーンは次狼とのかけあいが多いのですが、先生から「燁姫と次狼は苛めっ子と苛められっ子の関係なので、
もう少し嫌味な感じを出してもらってもいいです」というご意見を頂き、少し嫌味を出しつつも、軽快な雰囲気はそのままに演じて頂くことになりました。
それぞれのキャラクターが決定したところで本番に入るのですが、複雑なキャラクターに真剣な様子のキャストの皆さん。
特に太狼・次狼の姿が変化する場面、キャラクターの成長具合、過去に対する想いなど、それぞれの考え方や演じ分け、
表現方法についての質問が飛びかいました。太狼、次狼と呼ぶ時とタロ、ジロ等、その場その場の呼び方の違いや、
「ましゃか…」など面白さの表現でわざと崩してある日本語はいかしていくのか。コメディ部分とシリアス部分が絶妙なバランスでなりたっている
原作の魅力をどこまで表現するのか。綿密なディスカッションの後、いよいよ本番へ。
物語は墓守の加夜が墓地の見回り中、太狼と次狼に出会うシーンから始まります。
飛び出してきた太狼にはね飛ばされ、池に落ちる加夜と、空腹のあまり彼の夜食の弁当を奪って食べてしまう月原兄弟。
初っ端からインパクト大の一風変わった展開に、「この後どうなるんだろう?」と物語の世界に引き込まれていきます。
次狼を演じられる鈴木さんは、人狼一族の末裔で、その姿故に人間から迫害をされたりしつつも、そんな影を見せない
明るい次狼を元気いっぱいに演じて下さいました。
加夜に出会い、彼を好きになって、ひたむきに想いを寄せるその姿に胸がキュンとさせられます。
兄の太狼にすら嫉妬したり、どこか厭世的な加夜を叱り飛ばしたり、とにかく感情豊かな次狼。
悲しさをこらえて笑顔を見せる場面や、怒りを爆発させたり、熱情たっぷりに加夜に迫ったりと、次狼の様々な表情を声のみで
鮮やかに表現された鈴木さんの演技に注目して頂きたいと思います。とにかくかわいいの一言です!
さらに、人狼一族ということで、作中では狼の遠吠えや鳴き声などが登場しますが、どれも全て鈴木さんがアドリブで演じて下さっています。
「クウーン」「キャンキャン」「アオーン」など、コミカルな場面は楽しくパワー全開で演じて下さっていますので、そこも聞き所です!
さらに物語が進むに連れて、未熟で幼い少年だった次狼がどんどん成長していき、庇護されていた立場から、
今度は自らが愛する人・加夜を守る立場へ――。
加夜への想いの強さゆえに、最後にはなんと形勢逆転! する場面もあるのですが、キャラクターが全く別人になるわけではないため、
基本の声のラインはそこまで変えずに、ニュアンスで段々と成長の過程を表現される鈴木さん。最初と物語終盤の、絶妙な演じ分けにもご注目!
加夜を演じられる緑川さん。物静かでありながらもどこか存在感があり、艶っぽい雰囲気が加夜のイメージにぴったりでした。
一人の静かな生活に突如加わった月原兄弟に振り回され、彼らの存在や次狼の一途な想いに触れて、段々心を許していきます。
自らの抱える重い過去のせいで、感情を押し殺して孤独に生きてきた加夜。
そんな加夜が戸惑ったり、感情を露にしたり、太狼と次狼の存在のあたたかさに触れ心を開いていく様は必聴です!
臆することなくひたむきに想いをよせてくる次狼に、どんどん惹かれていく加夜。
クールな中にも緑川さんが声のトーンや話し方を微妙に変えつつ、そんな気持ちの揺れを繊細に表現して下さっています。
そして、次狼の愛情を受け入れてからは、大人の余裕を見せて次狼を翻弄したりと、まさに男のフェロモン全開のかっこよさ。
色っぽい場面での緑川さんの低く官能的な囁きは破壊力抜群です! ウブな次狼が思わず発情期に入ってしまうのも仕方ありません(笑)。
そして回想のシーンでは、10歳前後の幼い加夜が出てくるのですが、
緑川さん |
「ね、これ、幼いところって…」 |
P |
「緑川さん、大丈夫でしょ?」 |
緑川さん |
「10歳…がんばりま~す(笑)」 |
と冗談めかして仰っていましたが、それまで低いトーンでクールな加夜を演じて下さっていた緑川さん、
同一人物とは思えないほど、愛らしくかわいい声で幼い加夜を演じて下さり、その場の全員が思わず「おおー」と感嘆の声をあげるほどでした。
そんな緑川さんの妙技の光る回想シーン、皆さんぜひお楽しみに。
そして、狼姿の太狼を演じられる楠さん。
通常は狼、満月の夜は狼頭&人の体に変身するキャラクターなのですが、他キャストの皆さんから
「大典さんは顔キャスだよね(笑)」「顔キャスって、おい、俺のキャラ獣じゃねえか(笑)!」と終始話題にあがるほどのはまりっぷりでした。
暴走する次狼につっこんだり、次狼を差し置いて加夜にのんびりブラッシングをしてもらったり。
飄々とした雰囲気で物語のスパイス的役割の太狼を演じられる楠さん。時にコミカルに、時に迫力全開で、
要所要所で様々な表情を見せて下さり、各シーンのアクセントとなっています。「ハフハフハフ」等の狼声(?)のアドリブも聞き所です。
また、鳥海さん演じられる燁姫が登場してからは、これまでどことなく次狼の保護者的だった太狼の違う顔を楠さんが絶妙に表して下さっています。
他の人相手とはどことなく違う、微妙な距離感の表現はさすがの一言です!
燁姫役の鳥海さん。物語の後半で登場するのですが、その存在が物語を大きく動かす一因にもなっています。
男っぽく軽い雰囲気ながら色鮮やかな存在感です! 次狼をからかったりするシーンのテンポのよさはお手の物。
そして、なんといっても時折見せる燁姫の陰のある表情がどこか儚いです。
そして燁姫が餓鬼に取り憑かれてからのくだりは、鳥海さんの悲痛な叫びや想いが胸をうちます。
自らの外見や人狼一族でありながら力を持たないコンプレックス、通じない想い…
燁姫の切ない心情の吐露を、鳥海さんが細やかに表現して下さっています。
さて、キャストの皆さんもお気に入りなのが、加夜&月原兄弟が家族的なつながりを見せる場面。
団欒の場面での太狼の寛いだ様子や三人の間に広がる優しい空気感。姿形はそれぞれ違えど、家族としてお互いを想っている。
緑川さん、鈴木さん、楠さんの紡がれるあたたかい雰囲気に、思わずほっとすること間違いなしです。
更に、そんな団欒の場面もあれば、アクションの場面もあったりと、それぞれのキャラクターにスポットライトがあてられた本作。
メインの次狼&加夜はもちろんですが、太狼、燁姫、更に加夜の兄・加威や月原兄弟の両親の迅&エリカなど、
各キャラクターに見せ場がありますので、お楽しみに!
そして、次狼&加夜の二人が肌を重ねる場面では、次狼の傷を舐めて癒す力が鍵になっています。
傷ついた加夜を次狼が舐めて治療し、その真摯な想いに加夜が心を打たれて愛し合うシーンは何ともこの作品ならでは!
また、次狼が怪我をし、その傷を治そうと加夜が次狼にキスをして舐めるという、逆パターンからの愛の行為も素敵です。
クールな加夜の見せる艶っぽい姿はとてもかっこよくフェロモン全開で、次狼の加夜に向ける愛情が胸をうちます。
行為の最中、加夜に必死に想いを伝える様子は本当に愛情に溢れています。
そして更に、幼かった次狼が成長して最後には加夜と形成逆転…!?
色んなパターンが楽しめる本作ですが、どのシーンも大興奮間違いなしの仕上がりです!
以上、キャストの皆さん方の熱演により収録は順調に進み、無事本編が終了となりました。
続くエンディングトークでは、鈴木さん・緑川さん・楠さん・鳥海さんの四人で楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録後のご感想、それぞれの役柄についてや役作りについて、わきあいあいとした仲のよい四人の爆笑トークは必聴です!
特典のフリートークでは、同じくメインキャストの鈴木さん・緑川さん・楠さん・鳥海さんによるここでしか聞くことが出来ないお話が詰まっています。
キャラクターに共感できる部分や似ているところ、人狼一族の力について、さらにちょっと脱線して、今はまっていることや物のお話まで、
内容は聞いてくださった皆さんのお楽しみなのですが、鳥海さんの軽快な司会進行っぷりと、お話上手の皆さんのクロストークはとにかく爆笑必死!
「がっつき声優」「ブラコン声優」「パピヨン声優」「犬声優」など、楽しいお話がもりだくさんになっています。
ぜひこちらもお手に取って頂ければと思います。
直野先生の描かれた独特の世界観と魅力的なキャラクターを表現できるように、こだわりにこだわった収録は無事終了となりました。
アクションシーン、笑えるシーン、シリアスなシーンと聞き所満載の作品に仕上がっています。
4月28日発売、「Three Wolves Mountain」。皆さんぜひお楽しみ下さい!!
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