1月中旬、都内スタジオにて「センチメンタル・セクスアリス」の収録が行なわれました。
収録当日、続々とスタジオ入りされるキャストの皆さん。
気心の知れた仲のようで、終始なごやかムードで収録開始を待たれます。
全員が揃ったところで、キャストの皆さんに原作者の砂原先生を紹介するプロデューサー。
砂原先生から「ご近所物語的なゆるい感じの物語なので、ナチュラルな雰囲気の作品になれば嬉しいです」というお言葉をいただきました。
先生「春巳が一人で空回っている感じなので…」
と緊張気味にキャラクターに関してお話される砂原先生。
鈴木さん「分かりました。僕もいつも空回ってますから(笑)」
と、冗談で先生をリラックスさせてくださる鈴木さん。ブース内には収録開始前から笑顔が溢れました。
ご挨拶を終えた後、テスト収録が開始され、数シーンを演じていきながら、キャラクターの設定が行なわれます。
ドラマCD版「センチメンタル・セクスアリス」では、砂原先生の作品の世界観と、言葉と心が裏腹なキャラクター達の心情や行動を
どのように表現するのかが最大の課題であり、特にキャラクター設定の段階で、試行錯誤が繰り返されました。
自分勝手だけどノーテンキでどこか憎めない春巳、無骨で何を考えているのか分からない仙介はもちろん、
大人の色気滴る日和佐など、個性豊かなキャラクター達が織り成す本作。
音だけでキャラクターの表情や動きを聴く側に伝えられるように、キャストの皆さんには声のトーンを変えたり、
感情の起伏の幅を変化をさせるなど、数パターンを演じていただきながら、基本ラインを調整していきます。
春巳を演じられる鈴木さん。テストの時点では、生意気さとツンツンした雰囲気を前面に押し出したキャラクターで演じて下さいました。
ですが、基本は楽天家で何も考えてないイメージのキャラクターということで、主に軽めのラインで演じて頂くことになりました。
更にその上で、素直になれずツンツンした部分や、過去のトラウマや仙介への想いを時々見え隠れさせるようにという難しい注文に、
鈴木さん「基本はノーテンキ……ふわっとした感じで……分かりました」
と真剣に台本に向き合われる鈴木さん。何度もテストを繰り返しながら、キャラクターを掴むために試行錯誤されていました。
仙介を演じられる安元さん。最初は無骨ながらもやはり大学生ということで、感情豊かな雰囲気で演じて下さいました。
ですが、基本的に仙介は何を考えているか分からない性格ということで、あまり感情を出さずに、物語が進み感情を爆発させるところでは
気持ちを露にすることでメリハリをつけていただくことになりました。
日和佐役の鳥海さんは、テストではサービス旺盛なほどに男のフェロモンむんむんといった雰囲気で演じて下さいましたが、
本番では少し色気を抑えめに演じていただくことになりました。
鳥海さん「セクシーな感じを前面に押し出さなくっていいですか? 割と普通な感じで?」
P「うん、色っぽくていいんだけど、色っぽすぎない感じでね」
と鳥海さん、ご自分のキャラクターについて詳しく確認をされていました。
キャラクターの個性が大事な作品だけに、テストではメインのお三方を中心に綿密なディスカッションが行われました。
その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。
物語は、春巳と仙介の日常のやりとりから始まります。仙介を振り回す春巳と、無骨ながら包容力に溢れる仙介。
二人の貧しい(?)日常生活のやりとりはどこか微笑ましく、あたたかいです。鈴木さんの軽いトーンで表現される楽天家の春巳と、
どっしりと安定感のある安元さんの仙介。まさにキャラクターそのもののお二人の演技に物語の中にぐっと引き込まれていきます。
春巳を演じられる鈴木さんは、楽天家でありながらも幼い頃のトラウマを抱えていたり…と大変難しいキャラクターを再現するために、
繊細な演じ分けが要求されました。わがままに仙介を振り回しながらも、心の奥では彼の反応をうかがっていたり…
口から出る言葉と、思っていることが違うアンバランスさや、素直になれないもどかしさ。さまざまな表情を見せる春巳を声のみで
表現された鈴木さんの演技に注目していただきたいと思います。
悪態をついたり意地をはったりする裏側で紡がれる切ないモノローグがとても素敵です。
仙介を演じられる安元さんは、醸し出す包容力、口調や間合いの取り方が仙介のイメージにぴったりでした。
わがままな春巳の言うことを聞く仙介。何気ない日常生活の会話の端々から、春巳への愛情や優しさを表現してくださる演技はさすがです!
安元さんの感情を抑えめにされた演技の中にも、確かな春巳への愛情が伝わってきます。
さて、作中では春巳と仙介の回想シーンが数シーン登場します。
高校生、中学生、子供時代……どれも二人のこれまでの関係性において大事なシーンということで、子役等、代わりの役者をたてるのではなく、
鈴木さん、安元さんご本人に演じて頂くことになりました。
安元さん「俺、大丈夫かなあ…(笑)」
全員「(笑)」
不安げな安元さんにブース内から笑いがこぼれます。ですが仙介は元々子供の頃から体格のよい子供で、そこまで声の高さを
意識しなくてもよいということで、若干ほっとされたご様子の安元さん。
本番を前に一度鈴木さんとテストを行いましたが、どのシーンもお二人とも一発OKでした。
そして、日和佐を演じられる鳥海さん。大人の色っぽい雰囲気で、春巳と仙介の間のスパイスとして存在感たっぷりに演じて下さいました。
ちゃらちゃらしている中にも、大人の余裕を見せたりと、本当にかっこいいです!
その存在が春巳と仙介の関係を大きく動かす一因にもなっていますので、お楽しみに!
春巳に近づく日和佐と、仙介に想いを寄せるゼミ仲間・多佳子の登場により、二人の間にはだんだんとすれ違いがでてきます。
仕事もうまく行かず、仙介との仲もぎくしゃくする日々。
そんな中、とある誤解から決定的に二人の間に亀裂の入る出来事が起こり――。
春巳を愛するが故に、なんだかんだとわがままを聞いてきた仙介の行き場のない想いや怒りが爆発し、春巳と自分をも傷つけてしまいます。
これまで感情を抑えてきた仙介の悲痛な想いがとても切ないです!
低く唸るように吐き出される仙介の言葉が胸に刺さります。そしてそんな仙介に対して、春巳の想いは――。
じっくりとお二人の演技に耳を傾けていただきたいシーンです。
本当はお互い好き合っているにも係わらず、素直になれないが故に、もどかしいほど気持ちのすれ違いをくりかえす二人。
物語後半、春巳が素直になって仙介に対し抱えていた想いをぶつけるシーンは必聴です!
勇気を奮い立たせて気持ちを伝える春巳の、震える声で息を切らしながらぶつけられる心情。
これまで素直になれず打ち明けられなかった想いがぶわっとあふれ出したような鈴木さんの演技に、思わず胸が痛くなるほどキュンとさせられます。
そしてそんな春巳に仙介も自分の想いを伝えます。鈴木さんが演じられる春巳の気持ちの吐露に答える安元さんの、
抑えた声音ながらも台詞の端々から想いが伝わる繊細な演技に、その場の全員が耳を澄ましてただただ聴き入っていました。
物語のクライマックスにふさわしいお二人の熱演に、シーンが途切れた瞬間、「おおー…」と思わず声があがりました。
二人が肌を合わせるシーンは、場面ごとにしっかりと演じ分けをしてくださっています。
ぎこちない状態でのシーン、気持ちがすれ違ってお互いを傷つけあうシーン。そして最後の、想いが通じた後の肌を重ねるシーンは、
ラブラブで愛情の溢れた幸せなシーンになっています。
どのシーンもそれぞれ原作の雰囲気を大事に丁寧に演じてくださいました。
本編終了後、購入特典のフリートークでは、鈴木さん・安元さん・鳥海さんの三人で、楽しいお話を繰り広げてくださっています。
収録中の様子や、キャラクターについてなど、ここでしか聴くことが出来ないお話が詰まっています。
また、お三方の下積み時代のお話やちょっと暴走して下ネタ…までもりだくさんです!
仲の良いお三方の自由なトークに、スタッフブースは笑い声に包まれました。
砂原先生の書かれた魅力的なキャラクターを音で表現できるように、拘りに拘った収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でした!」とさわやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れ様でした!
2月28日発売、「センチメンタル・セクスアリス」。皆さんぜひお楽しみください!!
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