山本 要 役 鳥海 浩輔 さん |
上月 アキオ 役 中村 悠一 さん |
中川・Duvalier・Cyrille・亮 役 杉田 智和 さん |
6月下旬、都内スタジオにて「scarlet」の収録が行なわれました。
本作品は、短編2作品のオムニバスCDとなっており、表題作「scarlet」と「ワンナイトスタンド」の2作品が楽しめるCDになっています。
収録は、2日間に別れ、それぞれの作品を収録する事となりました。
■収録1日目
1日目は、表題作「scarlet」の収録が行なわれました。
スタジオに集まられた中村さん・杉田さん・鳥海さんは、楽しそうにお話をしながら収録開始を待ちます。
途中、プロデューサーが加わり、作品の世界観やキャラクターについての話し合いがじっくりが行なわれました。
キャストの皆さんから台詞の意図やイメージに対しての質問などが出たりと、本番に向けて真剣なご様子でした。
収録開始前、キャストの皆さんに原作者の斑目先生を紹介するプロデューサー。
ご挨拶を終えた後、テスト収録が開始され、数シーンを演じていきながら、キャラクターの設定が行なわれます。
ドラマCD版「scarlet」では、斑目先生の作品の持つ独特な世界観と個性豊かなキャラクターをどのように表現するのかが最大の課題であり、
試行錯誤が繰り返されました。
コミックスとは違い、音だけでキャラクターの表情や動き、空気感までを聴く側に伝えられるように、キャストの皆さんには声のトーンを変えたり、
感情の起伏の幅を変化させるなど、数パターンを演じていただきながら、基本ラインを調整していきます。
アキオを演じる中村さんには、モノローグ部分を台詞部分の延長とし、感情を乗せ柔らかい雰囲気を出していただくことになりました。
亮役を演じる杉田さんには、若干声のトーンを高くしていただき、シリアスな部分・コミカルな部分、それぞれにメリハリをつけて演じていただくことになりました。
山本役の鳥海さんは、斑目先生から「格好いいです」とOKをいただき、そのまま進んでいただくことになりました。
物語は、アキオのアパートのバスルームの中で、意識が朦朧としているアキオのモノローグからスタートします。
吐息と共にか細く響くアキオの声は儚げで、今にも消えてしまいそうです。
そんなモノローグのバックでは、ぐちゃぐちゃに泣きじゃくる亮の嗚咽。
お二人の演技にぐっと引き込まれていきます。
アキオを演じる中村さんは、口調や間合いの取り方がアキオの雰囲気にぴったりでした。
ふわりとした優しいトーンを基本に、亮に振り回されながらもどうしても振り払うことが出来ずに流されてしまう…
という揺れ動く感情を丁寧に演じていただきました。
吐息と声が混じった台詞の言い回しがとても艶めいています。
テスト時に指摘のあったモノローグは、世界観が途切れてしまわないよう、モノローグと通常の会話がきっぱりと分かれ演じていただきました。
収録の合間、真剣な表情で原作のコミックスを確認される中村さん。
キャラクターや作品のイメージを膨らませている姿が印象的でした。
亮を演じる杉田さんは、大変難しいキャラクターを再現するために、繊細な演じ分けが要求されました。
シリアスだったりコミカルだったり、さまざまな表情を見せる亮を、声のみで表現された杉田さんの演技に注目していただきたいと思います。
シリアスで息を呑むようなシーンが多い前半と、どんどんワンコ化していく亮が聴きどころになっている後半。どちらも素晴らしい演技が光っています。
また、中村さんと杉田さんは収録の合間、台本を覗き込みながら、お二人で台詞や動きについてなど、真剣にお話をされていました。
山本を演じる鳥海さんは、登場シーンは多くはありませんが、アキオと亮を導く存在として十分に聴き応えがあります。
作品を引き立てる山本にも、ぜひ注目してください。
収録中盤、多恵役の平松さんが収録に参加され、テスト収録が行なわれます。
平松さんには、亮よりも年上と言うことで、落ち着いた雰囲気を出してもらうことと、だんだんと口調をきつくしていただくことになりました。
多恵の迫力ある演技に、「こ、怖いっ」とスタッフから声が上がるほどでした。
多恵の登場により、二人の間にだんだんと距離がでてきます。
アキオと亮がマンションのドア越しに会話をするシーンは、とても切ないです。
亮を想っているのにドア越しに「帰れ」と言い放つアキオ。
そんなアキオに泣きながら縋る亮。
ぽつりぽつりとアキオへ語られる亮の言葉が胸に刺さります。
じっくりとお二人の演技に耳を傾けていただきたいシーンです。
また、作品の細部にまでこだわった収録では、
P「中村君、ここの『頭を抱えてしゃがみこむ』って所の息をください」
中村さん「…しゃがみこむ…息…(考えていらっしゃる様子)……」
プロデューサーの要望に、「伝わるかな?」と言いながらもマイク前に立った中村さん。
やはり役者さんはすごい、と唸らせる演技を聴かせて下さいました。
また、杉田さんには「泣いている」「震えながら泣いている」「泣きじゃくっている」など、何通りかの「泣く」という芝居を演じ分けていただきました。
細かなキャラクターの動きや吐息などにも注目していただくと、より一層お楽しみいただけると思います。
物語後半、原作では「scarred」(スカード)という短編部分に入っていきます。
だんだんとワンコ化していく亮の姿は必聴です。
また、アキオ・亮・山本、三人の会話は、ふっと頬が緩んでしまいます。
ストーカーのように、どこへ行くにもアキオの後ろについて行く亮が本当に可愛いです。
電柱の影に隠れ、「おこる?」「おこる?」とぷるぷる震える亮は、たまらない愛らしさがあります。
また、そんな亮を結局は見捨てることの出来ないアキオ。
いろいろと問題はありつつも、幸せそうな二人がお楽しみいただけます。
二人が肌を合わせるシーンは、場面ごとにしっかりと演じ分けをしてくださっています。
切ない気持ちが溢れていたり、幸せな気持ちが溢れていたり、亮が暴走していたり(笑)、どのシーンもそれぞれ原作の雰囲気を大事に丁寧に演じてくださいました。
本編終了後のエンディングトークでは、中村さん・杉田さん・鳥海さんの三人で、楽しいお話を繰り広げてくださっています。
収録中の様子や、キャラクターについてなど、ここでしか聴くことが出来ないお話が詰まっています。
そして、購入特典の「中村さん・杉田さんのフリートーク」では、「じゃあ、俺がまわすから」という杉田さんに対し、「あっ、そう? わかった」と頷く中村さん。
自己申告(?)により、杉田さんが司会を担当することに。
途中、中村さんに「はい、まわして(進めて)ください」とツッコミをもらうこと数回。
すると、杉田さんは「やるさっ!」と気合(?)を入れて進行をしていきます。
リラックスされたお二人の会話は、とても楽しく時には感心したり、マニアックな話題と自由な方向転換で、スタッフブースは笑い声に包まれました。
斑目先生の独特な雰囲気を描き出せるように、拘りに拘った収録となった1日目の収録は、無事終了となりました。
帰り際、「お疲れ様でした」というスタッフの挨拶に、「お疲れ様でした!」と爽やかな笑顔でスタジオを後にされる皆さんでした。
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千場 晴巳 役 鈴木 千尋 さん |
藤倉 時貴 役 羽多野 渉 さん |
■収録2日目
2日目は、「ワンナイトスタンド」の収録が行なわれました。
スタジオに集まられた鈴木さん・羽多野さんは、和やかにお話をされながら本番開始を待ちます。
ドラマCD版「ワンナイトスタンド」では、短いながらも、斑目先生の独創的な世界観をどれだけ伝えられるかが課題となります。
収録前に、原作者の斑目先生をキャストの皆さんに紹介するプロデューサー。
P「演技派の二人だから、全然心配しなくて大丈夫ですよ(笑)」
鈴木さん「すごいプレッシャー(笑)。頭から噛んじゃいそう(笑)」
羽多野さん「そんなプレッシャーをかけないで下さい(笑)」
鈴木さん「声のトーンが高めとか低めとか、何かイメージ的なものはありますか?」
緊張気味の先生に、声をかけられる鈴木さん。
先生「晴巳はかわいく…」
鈴木さん「あ、かわいく。分かりました、全力でかわいくやります(笑)」
羽多野さん「時貴はどうしましょう?」
先生「時貴は…しっとりした感じで」
羽多野さん「しっとりした感じ。分かりました、しっとり頑張ります」
お二人は先生からの言葉に頷きつつ、それぞれのキャラクターをよりしっかりとした形にされていったようでした。
キャストの皆さんがブースへ入り、テスト収録が始まります。
キャストの方々の声によって、初めて命を吹き込まれるそれぞれのキャラクターに、スタッフ全員がじっと耳を傾けます。
数シーンのテストが終了し、先生とスタッフでキャラクターの設定を行っていきます。
晴巳に関しては、幼いかわいさではなく、大人の落ち着いた声音でありながら、健気な部分など内面的なかわいさを表現して下さいました。
健気で一途な性格のキャラクターがイメージぴったりという事で、演じられたまま進んでいただく事になりました。
時貴に関しては、ベースになる声のトーンは低めに。
基本はモテモテの男性なので「一段上」のイメージを持って、でも男性との関係は初めてのためそこの部分では少し戸惑いを出したい、と細かい注文が出されました。
羽多野さん「そんなに表情豊かにならない方がいいんですかね? 割と抑え目で余裕な感じ?」
P「そうだね。基本的には意識してなくてもモテるタイプだから。でも男性とは初めて、ってところでメリハリを出していきたいね」
普段比較的感情豊かなキャラクターを演じることが多いという羽多野さん。
抑え目に、という指示に真剣な表情で何度も脚本に目を通されていました。
本番は、全体のガヤの収録から始まりました。
商社の仕事風景、ゲイバー等、様々なシーンをキャスト全員で収録した後、晴巳と時貴のかけあいがスタートしました。
晴巳を演じる鈴木さんは、柔らかいトーンの声音と、優しい雰囲気で晴巳を演じていただきました。
昼の顔と夜の顔を持ち、時貴に適わない恋心を抱いている晴巳の切ない感情を繊細に表現してくださる鈴木さん。
時貴との一夜限りの情事のシーンでは、夜の顔を見せ、慣れている風を装いながらも、心の内に隠された想いが台詞の端々から溢れるように伝わってきます。
作中、吐息まじりに呟かれる晴巳の時貴への想いが本当に切ないです!
時貴役の羽多野さんは、落ち着いた低音ボイスに男性的な色気を含ませて、時貴を演じてくださいました。
仕事ができ、自然と誰からも好かれる時貴というキャラクターをどれだけ魅力的に演じることができるかと表現を試行錯誤してくださった羽多野さん。
嫌らしくなりすぎず、でも艶のある雰囲気で、と絶妙な表現をしてくださいました。
マイクにぎりぎりまで近づいて囁くシーンは、ぞくっとするほどかっこいいです!
(ぜひヘッドホンでご堪能下さい!)
二人が肌を合わせるシーンは、正体を隠しての情事と、気持ちが通じあってからの情事と、繊細に演じ分けをして下さり、それぞれ素敵なシーンに仕上がっています。
時貴への募る想いを必死に抑え込む晴巳の一夜限りの情事のシーンは、すれ違う想いが切なく、その分、二人の気持ちが通じ合ってからは、幸せに溢れています。
収録の合間や休憩中、わきあいあいとお話をされていた鈴木さんと羽多野さん。
羽多野さん「千尋さん、色っぽいですねー(笑)」
鈴木さん「そう?(笑)」
羽多野さん「もうモノローグから色っぽい(笑)」
と、終始ほんわかムードで和やかに収録が進んでいきました。
本編終了後のエンディングトークでは、鈴木さん・羽多野さんの二人で、楽しいお話を繰り広げてくださっています。
先に収録を終えていた「scarlet」チームから無茶ぶりをされた羽多野さん。「そんな無茶な~(汗)」と困った顔をされつつも、しっかりと答えてくださいました。
そして、購入特典の「鈴木さん・羽多野さんのフリートーク」では、キャラクターについてや作品について、真剣に語って下さいました。
そしてなぜか羽多野さんの相談に鈴木さんが乗る形で、占いまで飛び出しました!
タロットカード占いが得意な鈴木さんが羽多野さんを占い、羽多野さんも感心しきりのご様子。その様子にスタッフからも笑いがこぼれました。
原作のポエムのような世界観を大事にしたいと、吐息一つや「晴巳」「時貴」という名前の呼び方のニュアンス一つにまでこだわった2日目の収録は、無事終了と
なりました。
「scarlet」「ワンナイトスタンド」とそれぞれ2作品の魅力がつまったドラマCD「scarlet」。
8月28日発売です! 皆さんぜひお楽しみください!
※本編終了後のエンディングトークは収録時間の都合により、本編ディスクに収められませんでした。
かわりに、公式ホームページ,K-BOOKS系列店舗購入特典のディスクに収録させていただきます。
詳しくは、購入特典ページの「scarlet」の該当部分をご確認下さい。
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