長谷部修一 役 小野大輔 さん |
余村和明 役 神谷浩史 さん |
「言ノ葉ノ花」の収録が、12月下旬に行われました。
本作品はDisc2枚組ということで、2日間に分かれての収録となりました。
1日目・2日目それぞれの様子をお届けいたします。
早朝からの収録となった1日目は、Disc1枚目を中心に収録がおこなわれました。
まずスタジオ入りされたのは、余村を演じる神谷さん。ブースの中に入り台本を広げると、台詞を声に出しながら繰り返し練習をされていました。
続いてスタジオ入りされた小野さんは、スタッフに挨拶をした後ブースの中へ入ると、神谷さんに「今日はよろしくお願いします」とぺこりと挨拶をされていました。
その他のキャスト全員が集合したところで、皆さんの紹介や収録スケジュールの確認が行われます。
原作の砂原先生からは作品について、
「全体を通してシリアスになっていますが、重くはなりすぎず、何度も繰り返し聴いていただける作品にしたいです」とコメントをいただきました。
準備が整ったところで、テスト収録がスタートします。
数シーンを演じていただく中で、余村や長谷部はもちろん、全キャストの声を確認していきます。
神谷さんには、雰囲気の少し異なった2種類のモノローグを聞かせていただきました。
テスト終了後、先生とプロデューサーを中心に各キャラクターの設定を順番に行なっていきます。
「心の声」が聞こえる・「心の声」を演じる、という大変難しい部分をどのように表現し、作品を作り上げていくか、じっくりと時間をかけて話し合いが行なわれました。
神谷さんについては、演じ方を変えるのではなく、余村の心の動きがとても繊細なため、アドバイスや補足が伝えられました。
重要なモノローグに関しては、シーンごとに声のトーンや雰囲気にしっかりとした変化をつけ、
全体的には重くなりすぎないように注意していただくことになりました。
小野さんについては、全体の雰囲気はそのままに進んでいただき、台詞に関しては感情を出さないキャラクターなので、「ぼそぼそ」と話す形で。
「心の声」は、感情の起伏をテスト時よりもしっかりと出し、「余村さんが好き」という気持ちをはっきりと表現してもらうことになりました。
小野さんから、「心の声」の演じ方について、方向性が合っているかの質問がありました。
これに対してプロデューサーの、「今のままで大丈夫だよ。(心の声が)はっきり聞こえすぎて余村は困っちゃってるわけだから、そのままでいいと思います」という返事に、
頷く小野さん、「『感情は表に出さないけど、心の中は結構動いてる人』っていう事でいいんですね?」と、確認されます。
「長谷部は、その部分をしっかりと描きたいんだよね。もちろんキャラクターが全く変わってしまうと違和感が出てしまうから、限度はあるとは思うけどね」と、
ガラスの向こうの小野さんに話しかけるプロデューサー。その言葉を真剣な表情で受け止めた小野さんでした。
ドラマCD版「言ノ葉ノ花」は、特別な「力」を持ったために、それが障害となってしまう余村と、
愛する人の能力を受け入れようと努力しながらも思い悩む、実直な長谷部、2人の不器用な純愛が丁寧に描かれます。
物語は、今から3年前のクリスマス。余村の回想シーンからスタートします。
ふっと天井を見上げた後、目を閉じて「…雪……ホワイトクリスマスか……」と呟く神谷さん。
その呟きは本当に舞い散る雪を見上げたかのような自然なものでした。
そんな中、突然「心の声」が聞こえて驚愕する余村。冒頭の緊迫した展開に、お話の中へとぐっと引き込まれていきました。
余村を演じる神谷さんは、「心の声」が聞こえるという難しい役柄を熱演してくださいました。
シーンごとに変化を見せる余村の様子を「音」のみで表現され、モノローグでも、声質を少しずつ変化をさせるなど、スタッフもその演技力に感動しました!
長いモノローグの途中、口が回らなくなってしまった神谷さん、
「…どうやら沈没してしまったら▼×○■◎△…にゃぁ~ん」と悔しそうに台本で顔を隠していらっしゃいました。
長谷部を演じる小野さんは、朴訥とした長谷部の雰囲気をしっかりと作り上げてくださいました。
語る言葉は少ないですが、ぼそぼそと語られる台詞の間合いなども、長谷部そのものです。
「心の声」では、普段は感情が見えない長谷部の、余村への気持ちが溢れています。その切なく絞り出すような声が胸に刺さりました。
本作品では、「心の声」という大変難しいシチュエーションを表現するために、
神谷さんと小野さんには、細かなニュアンスに対しても、しっかりとした演じ分けが要求されました。
キャラクターを作るために何度も繰り返し同じシーンを演じていただいたり、台詞や単語の1つまで拘りを持ち、砂原先生の描く、独創的な世界を表現していきました。
神谷さんと小野さんも、ご自身が台本から感じたことをお話しになったり、
キャラクターやイメージに対して意見を出されたりと、シーンごとにしっかりと打ち合わせをしつつ、収録は進んでいきました。
すべての収録が終了すると、ほっとした表情を見せたお2人でした。
収録2日目は、余村役の神谷浩史さんと長谷部役の小野大輔さんのお2人での収録となりました。
まずは、前回収録した音源をブースに流し、キャラクターの声質や雰囲気を確認していきます。スタジオに流れる音にじっと耳を澄ますお2人でした。
その後は1日目と同様に、テスト収録を行います。
役作りはもちろん、モノローグを担当される神谷さんの声が、前回のモノローグの声と変わりがないかなど、細かなチェックも行なわれました。
「BLCDを聴いてくださるファンの皆さんって、本当に聴き込んでくださる方が多いし、チェックも厳しいんですよ。
反応もダイレクトに返ってくるから、妥協が出来ないんですよね。演じるなら何度も聴いてもらえる作品にしなきゃ意味がないですし」と神谷さん。
その言葉に大きく頷く小野さんとスタッフ一同。作品制作に携わる全てのスタッフに気合が入ります。
2日目の収録では、物語が進む中で、より繊細な気持ちの表現が求められました。
長谷部を演じる小野さんは、普段の台詞と「心の声」を演じ分ける中で、2つの声のバランスがとても難しく、
単語1つにどの程度の感情をのせるのか、微妙な調整を何度も繰り返しながら、丁寧に長谷部を演じていただきました。
『長谷部の気持ちを「心の声」を通して知っていた』、ということを打ち明ける重要なシーン。
長谷部の気持ちを知っていたということを、静かに伝える余村に、いつもは感情を出さない長谷部も驚きを表します。
神谷さんと小野さんは、声のトーンや間合いで、聴き手側に2人の気持ちを伝えようとしてくれます。
お互いに思いあっていながらもすれ違ってしまう切ない2人の気持ちが交錯し、胸が締め付けられるようです。
切々と語られる余村のモノローグに感情が溢れています。
「心の声」が聞こえる余村と長谷部が肌を重ねるシーンは、余村と長谷部の感情がしっとりと描かれています。
「心の声」にも反応してしまう余村と、感情が一気に溢れ出して余裕のない長谷部。
この作品ならではの台詞や感情の高まりなどが、丁寧に表現されています。
余村に思いが募っていく長谷部と、長谷部から感じる全ての感情に反応をする余村が、幸せに満ちて、とても素敵なシーンでした。
表題作、「言ノ葉ノ花」のラストシーンとなる、駅のホームのシーンは、お2人の演技が素晴らしいです!!
余村と長谷部の気持ちがお2人を通して、胸に響きます。
もう切なくて切なくて、収録中に涙が溢れ出してしまいました。
声を震わせ、自分の気持ちを打ち明ける余村と、「心の声」が聞こえる余村を「怖い」と感じながらも余村の全てを受け入れる長谷部。
2人の気持ちがゆっくりと1つになっていく様子にもう1度、涙が溢れました。
本作品は、ドラマCDとしての楽しみが多い分、演者やスタッフにとっては、とても難しく、そして作りがいのある作品でもありました。
収録に真剣に取り組まれるお2人は、動きや演じ方などについて、ブース内で何度も相談をされていました。
キャラクターの小さな動き1つから、感情の表現の仕方、余村と長谷部の距離感など。
ほんの少しの時間も惜しむように、真剣な表情で話し合うお2人に、プロの意識を感じました。
Disc2に収録となっている「言ノ葉ノ星」では、思いの通じあった2人の距離が近づき、2人の纏っている空気にも変化が見られます。
途中、「心の声」が聞こえなくなり、一時は喜んでいた余村が、何も聞こえなくなくなった世界に不安を感じ、
今まで疎ましいと思っていた「心の声」に自分は支えられていたということに気付きます。
長谷部の「心の声」が聴こえない…。不安は日ごとに増していきます。
互いに好き合っていながらも、すれ違ってしまう2人がとても切ないです。
「心の声」が聞こえない余村と長谷部が肌を合わせるシーンでは、しっとりと、優しく甘く、その幸せな様子に胸が熱くなりました。
ラストへ向けて引き込まれていくお2人の熱演。ぜひぜひじっくりと聴いていただきたいと思います。
そして、2日間に渡る本編部分の収録は無事、終了となりました。
切なくて優しい気持ちに包まれる、本当に素敵な作品でした。
ハンカチを片手に、「言ノ葉ノ花」の世界にじっくりと浸っていただきたいと思います。
巻末に収録となるフリートークでは、長時間の収録後でお疲れにも関わらず、楽しいお話をたくさん聞かせてくださいました。
「言ノ葉ノ花」に関するお話や、BLCD作品において、メインでの共演がはじめてのお2人の感想など、
テンポ良く楽しい会話にスタッフブースは終始笑い声に包まれていました。
そして、購入特典CD「落花流水」の収録前、神谷さんと小野さんのお2人がなにやら相談している様子。
どうやら「どちらが仕切るのか」ということを相談しているようでした。
スタート前、「小野君が仕切ってくれるそうです!」とにこやかな笑顔の神谷さん。
一方小野さんは「が、頑張ります」と、ちょっとだけ不安そうな表情。
その相反する様子に、お2人の間でどのように進行役を決定したのか…なんだかとても気になりました。
内容は、聞いてくださった皆さんのお楽しみなのですが、小野さんの心の中をズバッと言い当てる神谷さんにタジタジの小野さんが微笑ましかったです(笑)
お2人の楽しいトークがたくさん詰まっていますので、ぜひぜひこちらもお楽しみいただきたいと思います。
2日間の収録が全て終了すると、ほっと安堵の表情を見せるお2人がとても印象的でした。
長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でした~」とにこやかにスタジオを後にされたお2人。本当にお疲れ様でした!
それでは、2月28日発売、「言ノ葉ノ花」皆さんぜひお楽しみください!!
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