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Recording Report

ひめやかな殉情 収録レポート


秀島慈英 役
三木眞一郎 さん
小山臣 役
神谷浩史 さん
三島慈彦 役
関俊彦 さん

11月下旬 「ひめやかな殉情」 の収録に行ってまいりました。
本作品は、前作「しなやかな熱情」に続く慈英・臣シリーズの第2弾。
ディスク2枚組のため、2日間に分けての収録となりました。

■ 収録1日目

収録1日目は、秀島慈英役・三木さんと小山臣役・神谷さんのお二人のみでの収録となりました。
お二人のシーンを中心に収録していくということで、前作から息ぴったりのお二人は終始なごやかムード。
前作の1シーンを試聴し、各キャラクターの声質や性格などを確認した後、テスト収録を行い、作品の雰囲気や全体のバランスを確かめます。
三木さん、神谷さんのどちらもまさにキャラクターそのものといった演技に、すぐに本番に入ることになりました。

本作の「ひめやかな殉情」は、前作から4年後の物語になりますので、恋人同士となり、同棲中の慈英と臣の日常のシーンから始まります。

臣を演じられる神谷さんには、前作の三木さんに代わってナレーション・モノローグを担当して頂きました。
ほぼ全ページ喋りっぱなしの膨大な台詞量はやはり大変なようで、
少し引っかかると「えへへ…」「んんんー?」「ごめんなさいっ」「心が折れそうだ…っ」と自らつっこんでらっしゃいました(笑)。
そんな神谷さんのお姿に、前作でナレーション・モノローグを担当された三木さんも「がんばれー(笑)」とエールを送っていらっしゃいました。

慈英に愛され、幸せを感じつつも、そんな関係に自分が慈英を引き摺りこんでしまったと心の奥で負い目を感じていたり、
その生い立ち故に慈英の愛情を信じ切れず、素直に甘えることができなかったり……神谷さんの語られる一言一言から、臣の複雑な心情が痛いほど伝わってきます。
脚本に書いていない部分まで、神谷さんは「臣」というキャラクターを理解されていて、台詞やモノローグだけでなく、息遣いの一つまでが、まさに臣そのもの。
臣の動作のSEやちょっとした部分まで、「臣として」考えて演じて下さいました。
小説のキャラクターを演じられているという域を飛び越えて、臣本人がまさにそこにいるような感覚を覚えました。

慈英を演じられる三木さん。前作に引き続き、その「慈英」ぶりにはただただ圧倒されました。
天才故に、どこか歪な、欠落した部分のある慈英という難しいキャラクターを、まさに体現して下さいました。
どんなに原作を読み込んでいても、「この台詞はどんな感じだろう?」と思う時もあるのですが(とりわけ慈英は独特のキャラクターのため)、
三木さんの口からその台詞が出た瞬間、「ああ、慈英だ」と実感しました。

臣に出会うまでは、絵だけが全ての存在だった慈英が、前作で臣と出会い、彼を愛したことで、初めて人間としての生を吹き込まれたような、
そんな慈英の心の動きを繊細に表現して下さった三木さん。臣への愛情、絵に対する思い。
慈英特有の抑えた口調にも関らず、感情が震えるほど伝わってくる三木さんの演技に、思わず息を飲みました。

 

そして、肌を重ねるシーンでは、収録前に入念な確認が行われました。
ただ濃厚なだけでなくその節々からお互いの感情が伝わってくること、それを大事にしたいというプロデューサーの言葉に、しっかりと頷かれるお二人。
本番では、お互いの想いが溢れだすような迫真の演技に思わず胸が熱くなりました。

何も言わなくても、臣と慈英というキャラクターを深く理解して下さっている神谷さんと三木さん。
台詞の一つ一つ、動き、二人の距離感、こちらで聞いている限りでは全く問題ないように感じられた台詞でも、
「今のは臣っぽくなかった」「慈英はこういう時こうするよね」と自ら修正されます。
先生をはじめ、スタッフ全員がお二人の素晴らしい演技にじっと耳を傾けているうちに、1日目は無事終了となりました。

■ 収録2日目

2日目は、神谷さん・三木さんをはじめ、キャスト全員が揃っての収録となりました。
スタジオ入りされたキャストの皆さんに向け、収録スケジュールを説明後、
先日1日目の収録を終えた臣・慈英以外のキャラクターの確認が行われ、その後、テスト収録が行われました。

臣の上司で、味のある堺刑事役の中村さんをはじめ、豪気な秀島照映役の風間さん、そして今回の物語の重要なファクターとなる三島慈彦役の関さん。
どの方もキャラクターをしっかりと掴んでいらっしゃって、すぐに本番に入ることになりました。
2日目はシリアスなシーンを中心に収録するため、ブース内には張り詰めた緊張感が漂っていました。

前作に引き続き、父親のように優しくかつ厳しく接する堺刑事を演じられるのは中村さん。
臣にかける言葉の一つ一つが、中村さんのあたたかく味のある演技によってとても生き生きとしています。
味わい深い、深みのある演技が、堺というキャラクターに説得力をもたせ、臣にお説教するシーンでは思わずジンときてしまいました。

豪放磊落な照映役の風間さん。臣との電話のシーンでは、その鮮やかな存在感に空気がパッと明るくなったようでした。
臣をからかう場面では、二人の良き理解者であり、小さいことにはこだわらない器の大きい照映を風間さんが魅力的に演じて下さいました。

そして三島役を演じられる関さん。慈英の大学時代の友人で、その才能に憧れるあまり彼に同化しようとする、この物語で重要な部分をしめるキャラクターです。
一癖も二癖もあるキャラクターのため、正直どんな風になるのか具体的な想像がついていなかったのですが、もうまさに圧巻でした!
登場時の明るい営業マン風な一面、慈英の真似をして喋っている面、本性をむき出しにする場面、そして最後に壊れきってしまう場面…とまさに変幻自在。
恐ろしい三島というキャラクターが、関さんの演技によって実体をもったかのような、圧倒的な存在感でした。

関さんの演じられる三島が登場する度に、物語のシリアスな展開と相まって現場の空気がピンと張り詰めます。
神谷さん演じられる臣と対峙するシーンでは、息を飲むような緊迫感で、お二人の演技にスタジオ内の酸素が薄くなってしまったかと錯覚させられるほどでした。
そして、そんな中現れる、三木さん演じられる慈英の恐ろしいほどの静けさ――。
その後の慈英と三島、臣のやり取りは、スタジオにいる誰もが言葉を失うほどの大迫力のシーンとなりました。
OKが出た瞬間、やっと息ができるといった感じで、思わず全身に鳥肌が立ってしまいました。
そんな迫真の演技と演技のぶつかり合いをぜひ聞いて頂ければと思います。

1日目に引き続き、神谷さん演じられる臣は、堺さんに対する子供っぽい顔、三島に対する真剣な顔と、様々な表情を見せて下さいました。
甘く切ない慈英との二人のシーンはもちろん、色々な臣の魅力を堪能して下さい!

また、三木さん演じられる慈英も、三島が現れたことで色々な表情を見せます。
感情を押し殺して、静かなのに溢れ出る怒り。そして臣への愛情など、台詞は平坦なのに、でも確かに伝わってくる感情。
そんな三木さんの演技は必聴です!

ラストカットの収録が終わると、張り詰めていたスタジオの空気がふっと緩みました。
「お疲れ様!本当に良かったよ!」プロデューサーの満面の笑みに、キャストの皆さん、スタッフ一同がほっと笑顔を浮かべました。
キャストの皆さんの迫真の演技に、ただただ圧倒された2日間の収録は無事終了となりました。

前作「しなやかな熱情」から4年後、新たなキャラクターも登場し、慈英と臣の二人は更に愛情を深めていきます。
「慈英・臣シリーズ」第2弾、「ひめやかな殉情」。2007年12月28日発売です!お楽しみに!

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