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天野 役
三木眞一郎 さん |
久保貴志 役
杉田智和 さん
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雪村史緒 役
下野紘 さん
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10月上旬 「honey」 の収録に行ってまいりました。
ディスク2枚組の長編作品ですが、収録は1日を通して行なうこととなり、早朝から晩までの収録となりました。
朝早くスタジオに入り、キャストの皆さんを待っていると、一番乗りされたのは杉田さん。
他の皆さんが揃うまで、プロデューサーと体を鍛えることについてお話をされていました。
スリムな体型の杉田さん、声を維持できるように、またもっと大きな声が出るように、体(声帯)をもっと太くするにはどうしたらよいかと真剣なご様子。
杉田さんのプロ意識の高さを伺わせる1シーンを垣間見ることができました。
その後、下野さん、三木さんと続々とスタジオ入りされ、その他の役者の方々も全員勢揃いしました。
プロデューサーより原作者の雪代先生のご紹介があり、いよいよ収録へ。
キャストの皆さんの準備が整ったところで、テスト収録が開始されます。
数シーンを演じる中で、作中に登場するキャラクター1人1人の声質を決定すると共に、キャラクターの雰囲気などを掴んでいきます。
また、このテスト収録にて、キャストの皆さん全員のバランスなども調整していきます。
意地っ張りで、負けん気が強く生意気、だけど本当は弱みを見せないように精一杯強がっている【史緒】と、
事故により記憶を失ったことで無邪気で素直な性格になる【シオ】という、2つの人格を演じられる下野さん。
この2つのキャラクターの演じ分けが、作中重要な部分となってきます。
史緒は、台詞の部分は子供っぽさをにじませて生意気に。強がっているツンツンした口調が何とも史緒らしいです。
その反面、史緒のモノローグ(心の中の声などを表現したもの)部分は、彼の隠している本音の部分にあたるので、
台詞とは違う落ち着いた繊細なトーンで表現して下さいました。
史緒に関しては、テストのままのイメージで演じて頂くことになりました。
シオは、少し幼児退行した部分もあり、史緒の隠された本性ともいえる、無邪気で素直な部分が現れた人格です。
テストでは史緒の時よりも少し幼いイメージで演じて下さったのですが、もっとかわいく、幼い感じを前面に出して頂くことになりました。
史緒の保護者で、エリート外科医の貴志を演じられる杉田さん。
基本的に感情の起伏があまりなく、淡白な性格のキャラクターです。
大人の雰囲気をもった低音の優しげな声で、テストのイメージのまま演じて頂くことになりました。
そして貴志の先輩医師・天野役を演じられる三木さん。
テストではどちらかというと男性的な軽いキャラクターだったのを、少し中性的な雰囲気を匂わせて演じて頂くことになりました。
先生より「ソフトだけど史緒に対してもう少し意地悪に」というご意見を頂き、
声は女っぽくなりすぎないよう、言葉の言い回しで癖のあるキャラクターを演じて頂くことになりました。
各キャラクターが確定した後、いよいよ本番に入ります。
物語は、史緒と貴志、天野のいつもの朝の風景からはじまります。
てきぱき家事をこなしたり、ツンツンしたり、子供っぽく天野に噛み付いたり、
色々な表情を見せながらも、心の中では様々な葛藤を抱えている史緒を台詞とモノローグで絶妙に表現して下さる下野さん。
ディスク1では、記憶を失った後の無邪気で素直な性格の【シオ】がメインとなりますが、
無邪気さと幼さを滲ませた一言一言がとっても愛らしいです。
作中、貴志に促されシオが肉団子を食べるシーンで、
シオ「……ん。(おいしい)」
という一言でおいしさと嬉しさを表現して下さったのですが、その「ん」のあまりの可愛さに、思わず「可愛い…」とスタッフから呟きがもれてしまうほどでした。
下野さんの演じられるどちらの史緒(シオ)からも、
「貴志に必要とされたい」「貴志が好き」という隠された気持ちが伝わってきて、終始切なさに胸がしめつけられるようでした。
声を震わせ、泣きながら自分の気持ちを訴えるシーンでは、本当に泣いているかのような迫真の演技で、
聴いているスタッフも思わずもらい泣きしそうになってしまいました。
実は下野さんご自身、キャラクターに感情移入されるあまり、演じられながら本当に泣いてしまわれたとのこと。
自然に出てきてしまった涙に、ご自身もびっくりされていました。
具体的にどこの部分なのかは控えますが、震えが来るほど切ない素敵なシーンに仕上がっていますので、ぜひ聴いて頂きお確かめ頂ければと思います。
貴志を演じられる杉田さんは、包容力のある大人の男性というキャラクターを低音の美声で表現して下さいました。
無邪気なシオに言い寄られ困惑したり、史緒の隠された一面を知り、どんどん惹かれていく様子など、貴志の感情の揺れを繊細に演じられた杉田さん。
杉田さんの語りに耳を傾けていると、優しげに語られる口調に、甘やかされているような、大きな腕の中に包まれているような心地よささえ感じられました。
三木さんの演じられる天野は、物語のスパイスとも言うべきキャラクターで、
史緒をからかったり茶化したりしながらも、要所要所で面倒見のよい部分を見せたり、助言をしたりと各シーンのアクセントとなっています。
一見ちゃらちゃらしているようにも見えますが、貴志と史緒のよき理解者であり、
ふざけた口調の中に二人を思う優しさが見え隠れする三木さんの絶妙な演技を堪能して頂ければと思います。
キャラクターが乗り移ったかのような皆さんの演技に、収録は順調に進み、ほぼ丸一日をかけての収録は無事終了となりました。
本編収録後、下野さん・杉田さんによる特典フリートークCD「honey×honey」の収録が行なわれました。
同じ年齢のお二人、お互いを「しもちゃん」「もんちゃん」と呼ばれており、親しげなご様子。
(ちなみに「もんちゃん」とは杉田さんが悶絶していつも悶々とされているところからきたあだ名だそうです)
フリートークでは、作品の感想だけでなく、お二人が作中にも登場する「ケーキに蜂蜜をかけて食べる」を実際に試して下さいました。
あまり甘いものは得意じゃないという杉田さんと、好きだけれど甘すぎるのは苦手という下野さん。
果たしてどんなお味だったのかは、ぜひフリートークCDを聴いてお確かめ下さいね。
キャストの皆さんの素晴らしい演技のおかげで、原作のイメージを損なうことのない、
台詞の一つ一つに気持ちのこもった、切なくもあたたかい物語に仕上がりました。
「誰かを想う気持ち」を丁寧に描いた、胸が苦しいほど切ない、でも最後には優しい気持ちになれる作品「honey」。
2007年11月28日発売、ぜひ優しい世界に浸って下さい。
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