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Recording Report

黒い愛情 収録レポート

伏見智紀 役
平川大輔 さん
加藤亮 役
緑川光 さん

9月下旬、「黒い愛情」の収録に行ってまいりました。
元気な挨拶でスタジオ入りされた緑川さんと平川さんは、控え室で台本を確認しながら
台詞を声に出して読み上げるなど、直前まで余念がありません。真剣な表情のお2人に、スタッフの緊張感も高まります。

収録前に、原作者の秀先生をキャストの皆さんに紹介するプロデューサー。
ご挨拶の後、キャラクターの性格などについて先生からお話をいただきました。
加藤は作品の後半まで感情を出さないように。
伏見はあくまでも、しっかりとした「大人」なので、可愛くはならないように、品のある落ち着いた男性を意識してもらうことになりました。
メンタルな部分を声で表現していく中で、キャラクターの心情はとても大切なものなので、お2人は先生からの言葉に頷きつつ、
それぞれのキャラクターを、よりしっかりとした形にされていったようでした。

キャストの皆さんがブースへ入り、テスト収録がはじまります。
はじめて「音」として聴く作品の世界に、スタッフ全員がじっと耳を傾けます。
数シーンのテスト収録が終了し、先生とスタッフでキャラクターの設定を行っていきます。
加藤に関しては、「イメージにぴったり!」という事で、演じられたまま進んでいただく事になりました。
伏見に関しては、ベースになる声のトーンはテスト収録時の声質で演じていただき、気持ちの変化と共に、声の柔らかさを演じ分けていただく事になりました。
瀬戸に関しては、キャラクターの持つ、「良いところが1つも無い。根っからの悪人」という感じがよく表現されていると、先生からお墨付きをいただきました。

「それじゃあ、本番入ります!」というプロデューサーの声に、ガラスの向こうで頷く皆さん。程よい緊張に包まれながら、本番がスタートします。

夜の公園で瀬戸に首を絞められる伏見――。
平川さんの苦しげな息と、瀬戸の狂気じみた声。一瞬のうちに作品の中へ引き込まれるキャストの皆さんの迫真の演技に、ぞくぞくと鳥肌が立ちました。

伏見を演じる平川さんは、落ち着いたトーンで上品に、そして優しさも感じられる柔らかな雰囲気で伏見を演じていただきました。
加藤に身体を奪われながらも、加藤自身を深く愛していく様子を、丁寧に演じてくださいました。
心と身体のアンバランスな関係、そして伏見の心の奥深くにある「感情」。
難しい描写を見事に演じられる平川さんの演技はまさに圧巻です!

加藤を演じる緑川さんは、魅力的な低音ボイスに艶やかな熱をプラスした美声で加藤を演じていただきました。
「耳元で」「囁き」などのト書きが組み込まれている加藤の台詞でしたが、マイク前でそっと囁かれる甘い囁きや、逆らうことの出来ない命令の数々…。
ぜひぜひヘッドホンで聴いていただきたいと思います。
低いトーンの声で加藤を演じる中で、「息」や「間」や「言い回し」など、
緑川さんの素晴らしい演技が随所に散りばめられていますので、じっくりと堪能していただきたいと思います。
また、収録の合間に交わされるプロデューサーとのやり取りの中で、「いえいえ、はーい(高音)」「わかりましたー(高音)」「うんうん(高音)」と、返事をする緑川さんは、
直前まで重厚な低音の声を出していた方と同一人物とは思えないほどの可愛らしさでした。(笑)
また、伏見と加藤の職業がカウンセラーということで、台詞の中には、専門的な言葉や難しい言い回しの台詞が多く登場しますが、
お2人共難しい長台詞をすらすらとお話になっていました。
ミーティングのシーンでは、真剣に討論しあう2人の様子が描かれていますので、こちらもお楽しみに。

 

妖しく濃密に描かれるラブシーンの収録前、プロデューサーが平川さんに話しかけます。

プロデューサー 「このシーンは結構長いんだけど、彼の立場的というか心情的に抵抗はしているんだけれども、 肉体は受け入れているっていう部分が彼(伏見)にはあるんだよね。 そこを表現していくわけだけども、あまり声を強く出すんじゃなくて、いかんともし難い部分っていうか、力がふっと抜けてしまって出ない…っていう、 そういう加減がほしいんだよね。ラブシーンで、心の葛藤を表現するっていうのが、僕にとっても大きな課題の一つだし」
平川さん 「僕も読んでいてそう思いました」
プロデューサー 「そうすると、そこから出た音っていうのはリアリティがあるように伝わると思うんだよな。(笑顔)っていうことで、演ってみようか」
平川さん 「はい!よろしくお願いします!」

にっこりと微笑んだ後、真剣な表情でマイク前に立つ平川さん。
肌を重ねつつ、メンタルな部分にまで細やかに表現をしていくお2人でした。

終盤、キャストの皆さんで、カウンセリングルームや喫茶店、SM倶楽部などのガヤ録りがおこなわれました。
ここで阿部プロデューサーが先生に、「ここには(SM倶楽部)十人前後の人数がいるという設定で大丈夫ですか?」との確認が。
「大丈夫です」ということで、男性キャストの全員でマイク前に並びます。(ショーを観覧している人達という設定)
「それじゃあ、しばらく笑い声をください」と、1テイク。
「それじゃあ、もっと妖しい笑い声をください」と1テイク。
「それじゃあ、皆ちょっと全員年配になって笑い声をください」と1テイク。
だんだんと妖しさを増していくキャストの皆さんの演技に、役者さんの演技力の凄さを改めて実感。
「OKです」の声と共に、キャストとスタッフからは笑い声が起こりました。
楽しいガヤ収録に、スタジオの雰囲気がぐっと柔らかくなりました。

収録終了後におこなわれた写真撮影での終盤、カメラマンが緑川さんに一言。
「…あのっ、収録の時にかけられていたメガネ姿もとても素敵だったので、…もしよろしかったらメガネをかけたお写真もいただいてもいいでしょうかっ……(汗っ)」
このお願いに緑川さん、「ん?あぁ、収録のときはかけてたねー」とメガネをかけてくださいました。こちらからのお願いにも優しく答えてくださった緑川さんでした。

それでは、10月28日発売、「黒い愛情」皆さんぜひお楽しみにっ!

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