Atis collection

[Atis collection] >> [Recording Report] >> [あしたのきみはここにいない]

Recording Report

あしたのきみはここにいない 収録レポート





3月下旬 「あしたのきみはここにいない」 の収録に行ってまいりました。
ぽかぽかと暖かい日差しが差し込むスタジオに、続々と集まるキャストの皆さん。東条と森山の2人は、緊張とドキドキを抑えながら、収録開始を待ちます。
はじめに、原作者の崎谷先生をキャストの皆さんに紹介する阿部プロデューサー。キャストの皆さんとのご挨拶や、収録スケジュールを確認します。
阿部プロデューサーからは、作品のポイントなどについていくつかのお話がありました。

・ 作品のモノローグや言い回しなど、崎谷先生の独特なタッチを大切にしていきたいということ。
・ 毎日の中での心の葛藤をしっかりと描きたいということ。
・ 高1から高3の中で展開されるお話の中の、朝陽の心と体の声音の変化をしっかりと描いていきたいということ。

ここで、北原役の鳥海さんから「1年の頃は漢字で『三尾』ですよね? しばらくして出てくる、カタカナの『ミオ』の発音は、使い分けたほうがいいんでしょうか?」
との質問が。
崎谷先生から使い分けの希望をいただき、苗字として使う 『三尾』 とあだ名として使う 『ミオ』 の発音は別のものになっていますので、2人の距離感を呼び方で
感じていただくことが出来るようになっています。

 

そして、程よい緊張感に包まれながら、テスト収録が始まります。

「―――ドアが閉まると世界が遮断される」

澄み切った第一声は、朝陽を演じる鈴木さんのモノローグ。
ここから、音の世界が綴られていきます。
キャラクター1人1人や全体のバランス、作品の雰囲気が合っているかなど、スタッフルームに響く声に全員が集中します。
数シーンのテスト収録が終了し、朝陽と北原をはじめ、登場するキャラクター全員の声について、確認が行われます。
朝陽については、鈴木さんの演じられた雰囲気を生かす形で、元気すぎず、暗くなりすぎず、どこにでもいる、ごく普通の高校生を演じていただくことになりました。
北原については、クールな感じをそのままに演じていただくことになりました。
朝陽の姉・夕奈は、弟を振り回す気の強い姉。そして弟思いという部分はしっかりと表現していただくことになりました。
また、今回の作品は、コミックス発売前の収録ということもあり、作品の世界をしっかりと作り上げるため、細かな打ち合わせも行われました。
崎谷先生が綴る作品の世界を、阿部プロデューサーが的確にキャストの皆さんへと伝えていきます。
言葉のニュアンス・心理状態・キャラクターの性格などから、くっきりとした世界が作り上げられていきます。

本番直前、阿部プロデューサーからの「この中で、花粉症の人ってどのくらいいる?」と言う質問に「花粉症は僕でーす」と鈴木さん。
その他、鳥海さんをはじめ、ブース内のほとんどの方が花粉症とのこと。
「じゃあ、そんな花粉症にも負けず、頑張っていこう!」 という阿部プロデューサーの言葉に 「がんばるぞっ!(イメージ的にひらがな風)」 と鈴木さん。
ふっと和んだ雰囲気のまま、本番がスタートします。
しっとりとした北原と朝陽の会話のやり取り。甘い2人だけの特別な時間を丁寧に演じていく鳥海さんと鈴木さんの息はぴったり!
冒頭部分から強く作品の世界に引き込まれていきます。

三尾朝陽を演じた鈴木さんには、声のトーンは高めに演じていただいています。
『ごく普通の高校生』 ということで、キャラクターが目立ちすぎない自然さを引き出してもらいました。
同じキャラクターでありながら、時間の流れや心情によって、しっかりと表現の仕方や声音にも変化を付けてくださっています。
その演技力にスタッフ一同感動しきりでした。
作品中のモノローグは切なく、朝陽の心の中がしっとりと語られます。
また、北原を演じた鳥海さんは、クールさ、ふとした瞬間の優しさ。そして後半部分の甘々さなど、場面場面で変化していく北原を演じて頂きました。
また、鳥海さんの語尾の発音やテンポが特徴的で、なんとも心をくすぐられます。ここは必聴です!
想いが通じ合った後の北原は、想像がつかない程に優しく甘いです。
メインキャストがお2人ということで、ゆっくり休む時間も無いまま、長時間の収録となりましたが、お2人は疲れた様子を見せず、最後まで集中して
収録に臨まれていました。

 

途中、細かな修正を加えながら、少しずつ作品が出来上がっていきます。
細かいニュアンスや、台本には無いキャラクターの心情なども、丁寧に説明をおこない、キャストの皆さんも、より自分のキャラクターと
作品の雰囲気をしっかりと掴み取っていきます。
また、阿部プロデューサーは、収録の合間にふっと会話を挟むことで、キャストの皆さんと距離感のない空気が生まれていきます。

阿 「もう1ブロックいける? タバコ吸いたい人いる? 大丈夫かな?」
鳥 「大丈夫でーす。頑張ります。頑張ろう。頑張って我慢します」
鈴 「あははははっ」
阿 「僕は、タバコ止めて10ヶ月目に突入したよ。止めたほうがいいよー」
鳥 「じゃあ、阿部さんの歳までは…」
阿 「このやろう(笑) まだ大分いけるな。 じゃあ、続けるよ」
スタジオの空気が和み、リラックスした良い状態で、後半部分へと進んでいきます。

朝陽を演じる鈴木さんの1番表現が難しかったシーンが、「『ふみちか』と呼ぶ声が、舌の上で溶ける」 というものでした。
北原と、朝陽がキスをしながら、『ふみちか』という言葉が溶ける…という場面を音と息で表現するのですが、
しっかりと名前を呼ぶことにこだわらず、ニュアンスを伝えるということを大事に演じていただきました。

北原を演じる鳥海さんに阿部プロデューサーが一言。
「浩輔君さ、34ページのラストの部分なんだけど、苦しそうに鎖骨を噛みたいんだよね」
鳥海さん、ガラス越しにうんうんと頷きます。
「ここで、今までと違う北原が出てくるっていうね」
と、ここで鈴木さん 「噛まれて…噛まれたアドリブは?」 と。
「そこは、受けてもらって」 ということで、本番がスタート。
終了後、鳥海さんがポツリと 「噛んじゃった…」
鈴木さんもポツリと 「噛まれちゃった…」 とお話されていました。
このシーンには、スタッフ全員 「イイです!」 と大興奮!
素敵な演技をぜひ耳を澄ましてお確かめください。
ストーリーも佳境に突入し、思いをぶつける朝陽に対し、自分の過去を打ち明ける北原。
そして、心も身体もしっかりと結ばれる2人。
肌を重ねる朝陽と北原の感情が溢れでています。
ぜひじっくりと聴いていただきたいと思います。

 

最後に収録されたフリートークでは、鈴木さんと鳥海さんが、作品の感想をはじめ、色々なお話を聞かせてくれました。
仕事に対してのスタンスや、お付き合いの長いお2人の馴れ初め話など(笑)、真面目なお話から、楽しいお話などなど、
ぎゅぎゅぎゅっと詰まっていますので、こちらもぜひお楽しみに!

フリートークでもお話されていたとおり、他作品の共演も多く、お付き合いの長いお2人。 収録開始前、控え室で休んでいた鳥海さんを
「とーりちゃーん(イメージ的にひらがな風)」 とスタジオに呼び込む鈴木さんに対し、「んー?」とスタジオに入っっていく鳥海さん。
収録の合間には、お2人が椅子に座ったまま、「こんな感じ?」「うん」 と、小さな声で次のシーンの打ち合わせをされていたりしました。
ぽそぽそと漏れ聴こえてくるお2人の声とガラス越しに見える真剣な横顔がとても印象的でした。常にふわふわとした空気がスタジオを包み、
予定よりも早い時間に無事収録終了となったのでした。

それでは、5月28日発売 「あしたのきみはここにいない」
皆さんぜひお楽しみに!!!

 


▲ 上に戻る
Copyright