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Recording Report

はなやかな哀情 収録レポート



※本レポートには内容のネタバレが含まれます。ご注意下さい。

先日、都内スタジオにて『はなやかな哀情』の収録が行なわれました。
今回の作品はディスク2枚組ということで数日に渡って収録が行われました。

テスト前、キャストと先生のご挨拶があり、今回は慈英が記憶喪失になってしまうお話ということで、役作りに関してのディスカッションが行われました。
「ここでのこの態度ってどうしてですか? こういう風には振舞わないかなと思ったんですけど」
とある場面、どういう心情でキャラクターがこういう態度をとっているのか…等、キャラクターの心理を確認されるキャストの皆さん。
すでに6作目と言うことで、各々のキャラクターを理解して下さっているからこその質問が飛び出したりと、収録前から期待が高まります。

綿密なディスカッションを行い、テスト収録へ。
数シーンを演じていきながらそれぞれのキャラクターの設定を行います。
お馴染みの臣、慈英、照映、浩三、堺刑事、堺刑事の娘・和恵に弓削と、それぞれのキャラクターをばっちり把握されているメインキャストの皆さん。
一発OKですぐに本番へ。

そして今回初登場・霧嶋久遠役の檜山修之さん。きれいめのトーンで、飄々とした雰囲気で演じて下さいました。
先生からも「大変素晴らしいです! もう少し茶化す感じがあってもいいかな。空気読まないタイプというか」というリクエストが。

檜山さん 「空気が読めない人? それともあえて空気を読まない人なんですか?」
先生 「あえて空気を読まないタイプです」
檜山さん 「なるほどそっちね」
と少し軽快な雰囲気をプラスして下さり、久遠のキャラクターがぐっと深まりました。
その他の各キャラクターのイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、テストが終了しました。

物語は、慈英が東京の鹿間の事務所を訪れるシーンから始まります。気乗りしない物憂げなモノローグが何とも慈英らしくて、思わず懐かしささえ感じられます。
しかしそんな慈英を襲う急展開に、思わず冒頭から物語に引きこまれること間違いなし! この場面が、本作の重要なファクターになっています。

さて、演技中は先生からも『慈英さん』と呼ばれるほど、まさにキャラクターそのものといった感じの秀島慈英役・三木さん。
今回は物語の性質上、色んな表情を見せて下さいました。
記憶を失い、学生時代の頃の精神状態に戻った慈英。無関心な顔を見せ、知らない臣に辛くあたる姿はすさまじいほどの破壊力です。
三木さんの紡がれる冷たいトーンの声音が本当に心にズキッときて、聞いているこちらも胸が痛くなります。
全く覚えがないのに、何故だか気になる臣の存在。自分の言葉に一喜一憂する彼に、苛立ったり後悔したり――。
時折声にならないほどの声で、時には言葉を荒げて。緩急自在、訳もわからず臣の存在に揺さぶられる慈英の心情を繊細に表現して下さる三木さん。
昔の慈英ってこんな感じだったんだ、と思わされるような無関心さや、絶対零度の冷たさ、怒り、混乱、そして臣への想いと、
声のトーンや話し方を微妙に変えつつ、的確に表現されています。
子供っぽさも垣間見える、これまでのシリーズでは聞けない三木さんの演じられる慈英の感情の動きにご注目下さい。

こちらもキャラそのもの、小山臣役の神谷さん。自分にかかわる記憶を失ってしまった慈英を気遣いつつも、彼の冷たい言動に傷つき苦しみます。
忘れられたことに傷つきながらも、彼を思いやり自分の感情を抑えて接するその姿には、「臣はやっぱり年上なんだなあ」と思わされます。
それでも、慈英の辛辣な言葉を受けて一瞬「…っ」と間が空いたり、笑顔を浮かべつつも悲しさを隠し切れなかったり…
という表裏一体の表現はさすがの一言!
息を震わせたり、ぎりぎりまで落とし、わざとかすれ気味に声を出したり…神谷さんの細やかな演技が、臣の心情を痛いほど表しています。
喪失感、絶望、悲しみ、そして諦めの後のどこか悟ったような静けさ。
あまりにも臣がかわいそうでいじらしく、収録中、終始、先生とスタッフからは「臣がかわいそう…」という言葉が何度も出ていました。
収録中、キャストの皆さんからも「慈英ひどい」と攻められる三木さんでした(笑)。

そして、三木さん、神谷さんだけでなく、このシリーズに登場するキャストの皆さん方の演技も本当に素晴らしいです!

慈英の従兄弟・照映役の風間さん。記憶を失った慈英に怒りをぶつけ、臣を思いやる姿が何ともかっこいいです!
慈英と臣の理解者で、彼等のことを考えているからこその照映の言動を、風間さんが男っぽく熱く演じて下さっています。
臣が照映に怒りや悲しみをぶつけ、照映が彼を抱きしめる場面。臣を慰める照英のまっすぐさや優しさが表われていて、何とも素敵なシーンになっています。

臣の父親代わり・堺刑事役を演じられる中村さん。深みのあるしぶい演技が味わい深いです。
臣とのやりとりでは、傷ついた臣を思いやる労りが台詞の端々から滲み出ていて、思わず胸がジンとなります。
優しい言葉をかける時も、怒る時も、包容力とあたたかさのある演技が、物語により一層深みを与えてくれています。

そして久遠役の檜山さん。久遠は、慈英と対等もしくは少し上くらいの風格を持ちつつ、軽快さもある曲者的なキャラクターなのですが、
本当にイメージぴったりでした。
特に病院での慈英とのやりとりは、飄々としていながらも、どこか火花が散っているような迫力!
笑顔のまま軽いトーンでズケズケと嫌味を言ったかと思えば、がらっと表情を変えて低くドスを聞かせて台詞を発する。
絶妙な間合いでまさに変幻自在、色鮮やかに久遠を表現して下さっています。

町の青年団団長・丸山浩三役のてらそまさん。まさに現場のムードーメーカーという感じで、場を明るく盛り上げて下さいました。
物語の中でも、溌剌としたエネルギーに溢れる浩三さんを熱演して下さっています。
出番は多くないですが、迫力満点、頼りになるかっこいい乱闘シーンや、お茶目なアドリブ等、浩三さんの登場場面は、
耳を澄まして細かく聞いて頂ければと思います。

記憶を失った慈英と、そんな彼を辛抱強く見守りつつも、彼を諦める決心をした臣。
本作はそんな二人の切ないすれ違いややりとりが満載、どこをとっても胸が痛くなることは間違いありません。
収録中、二人のあまりの熱演に、思わず目頭が熱くなってしまう場面が何度もありました。

慈英が臣とつきあっていたことを知る場面。
慈英 「俺が、男とつきあってた? 籍を入れる? 冗談でしょう、ありえない」
その言葉の冷酷なまでの響きと侮蔑に息を飲む臣と、そんな慈英に食ってかかる照映。
わざと露悪的に振舞い、周囲を傷つけ、苛立ちに声を荒げる慈英。その場にいる全員が辛く、何とも切ないシーンです。

そして、とある事件が起きた後、臣が慈英の家でケガの手当てをされる場面。自分を愛してくれた慈英ではない慈英に抱きついて、「東京に帰れ」という臣。
神谷さんが低く抑えたトーンで紡がれる臣の台詞が、本当に切なくて、聞いていて思わず涙がこぼれそうになりました。
ゆっくりかみしめるように、一言一言、消え入りそうな声で発される神谷さん。抑えた中にも臣の溢れんばかりの想いが詰まってることが伝わってきます。
笑いまじりの台詞にもかかわらず、こんなにも悲しく感じさせられるとは…。
三木さんの演じられる慈英の苦しげな「あなたはそれでいいんですか」という台詞とともに、本当に涙なしには聞けない場面になっています。

そして、何と言ってもディスク2の物語終盤、本当に全てを思い出した慈英と臣のやりとりは必聴です!
これまでとガラッと様子を変えた、優しい本来の慈英の声音に、思わず安堵させられます。
お互い涙ぐみながらのやりとりは、本当に泣いているように感じられるほどのリアリティーで、
傷つけあって苦しんだ分、幸せになってよかった、としみじみ思わされます。
まさにクライマックスにふさわしい、優しさと愛情に溢れた感動の場面です。胸がキュンとなるような、心を揺さぶるシーンに仕上がっています。

さて、本作はシリアスな怒涛の展開が続きますが、ラブラブな場面も必聴です! その破壊力はさすがとしか言いようがありません。

慈英が東京に出かける前夜の甘い場面。「行きたくない」「臣さんに五日も会えない」と拗ねる慈英が何とも可愛く、
思わず先生やスタッフから笑いがこぼれました。
そしてそんな慈英を叱りつつも、まんざらでもない様子の臣。このやりとりがあまりにもラブラブで可愛らしく、
「あー二人とも可愛い!」思わず言ってしまうほどです。
肌を重ねる場面も甘〜い雰囲気満載です。

駐在所で肌を重ねる場面は臣の色っぽさ、艶っぽさが全開! 
そして、物語終盤では、全てを思い出せないけれど、臣が好きだと気付き抱き合う場面。慈英が感情をむき出しにして臣を抱きしめ、
その想いに焦る姿がどこか子供っぽく感じられ、かっこいいのにかわいいんです!
がっつく慈英に翻弄される臣。どのシーンもそれぞれ熱を入れて演じて頂いています。聞き所満載の場面に仕上がっていますので、お楽しみに!

記憶を失ったことによって、慈英と臣の間に訪れる感情の行き違い。キャスト陣の熱演に引きずられ、
とにかく切なく、終始胸が苦しくなるのですが、最後には、思わずホッと笑顔になることは間違いありません。

このシリーズではいつも思うことなのですが、慈英と臣の二人をはじめ、キャストの皆さんの日常会話が何ともリアリティーがあります。
それは原作者の崎谷先生の書かれたキャラクターの奥深さと、前述にも出たように、それぞれのキャストが役を自分のものにしているからこそなんだと思わされます。
慈英と臣達の軌跡を、シリーズを通してぜひお確かめ頂ければと思います。

本編終了後、エンディングトークでは、三木さん&神谷さんが楽しいお話を繰り広げて下さっています。
若干お疲れ気味のお二人ですが(笑)、仲の良いわきあいあいトークになっています。

そして、特典ミニドラマCD。
こちらは幻冬舎コミックス様が崎谷はるひ先生フェアとして書店配布されたSS2編を元にCD用に構成したものになります。
本作『はなやかな哀情』からおよそ2ヶ月後の物語になりますが、こちらは本編とは違って、日常の二人の何気ないラブラブっぷりが満載です。
「いつまでもラブラブですね、ご馳走様です」と思わず言いたくなるような、聞いているだけで胸がほっこりする、
幸福感に溢れたあたたかい内容になっていますので、ぜひこちらもお楽しみに!

原作は10周年を迎え、一層の盛り上がりを見せる慈英×臣シリーズ。
ドラマCD『はなやかな哀情』、2011年7月28日発売です!

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