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Recording Report

ハピネス 収録レポート


先日、8月14日発売『ハピネス』 の収録に行って参りました。
本作品はDisc2枚組ということで、2日間に分かれての収録となりました。収録レポートでは、1日目、2日目それぞれの様子をお届けいたします。

■収録1日目
早朝からの収録となった1日目。次々にスタジオに集まって来られるキャストの皆さん。
全員が揃ったところで、プロデューサーより原作者の崎谷先生のご紹介があり、いよいよ収録へ。

ドラマCD版『ハピネス』では、流水と裕太が家族として暮らし出した過去の回想と現在を行き来しながら、
原作で描かれている繊細な心理描写とすれ違いの切なさをどれだけ忠実に表現できるのかがポイントとなりました。
小説とは違い、音だけでキャラクターの表情や動き、言葉の裏にある心情などを聴く側に伝えられるように、
キャストの皆さんには声のトーンを変えたり、感情の起伏の幅を変化させるなど、数パターンを演じていただきながら、
基本ラインを調整していきます。

平川さんには、友人の息子・裕太を引き取って、家族として一生懸命がんばる流水純司を演じて頂きました。
優しく穏やかな流水。柔らかい雰囲気がイメージぴったり!という事で、テストのまま進んで頂くことになりました。
更に、裕太を引き取った時点では22歳、現在は29歳ということで、もっと違いを出した方が良いかと尋ねられる平川さんに、
プロデューサーより、大きく変えるのではなく若干ニュアンスの違いで表現しようというアドバイスが。
その言葉に、平川さんは真剣な表情で頷かれていました。

日置裕太を演じられる下和田さんと羽多野さん。
今回は、回想シーンの父親を亡くした10歳の裕太を下和田さんが、流水に引き取られて7年後、現在の裕太を羽多野さんが演じて下さっています。
物語は7年前の回想シーンから始まるため、10歳の裕太役の下和田さんが先にテストを行います。
子供っぽいかわいらしい裕太を演じて下さる下和田さん。更に父親を亡くしても気丈に振る舞う芯の強い子ということで、あまり10歳という
幼さを意識しすぎず、芯の強さを出して頂くことになりました。
そして、先に行われた下和田さんの演技に、緊張気味の羽多野さん。
10歳の頃から比べると劇的に成長した裕太の変化が聞き所でもあるのですが、17歳の裕太を気取らない雰囲気で演じて下さいました。
更に先生から「裕太は後からどんどん尖がってくるので、その対比で最初はもう少し甘ったれというか穏やかな感じでもいいかと思います」
というリクエストに、すぐさまキャラクターに反映してくださる羽多野さん。
声のトーンは変えず、最初は柔らかい雰囲気をプラスして演じて頂くことになりました。

そして流水の同僚・原野役を演じられる坪井さん。人を食ったような声音がかっこいいです!
更に先生より「もう少しチャラっとしててもいいです」というご意見を頂き、少し軽さを出しつつ演じて頂くことになりました。


各キャラクターが確定した後、いよいよ本番に入ります。
物語は、回想シーン・裕太の父親の葬儀の場面から始まります。
周囲の心無い言葉にも気丈に振る舞う裕太を下和田さんが熱演して下さっています。強がりつつも、本当は泣きたいのを堪えている
裕太の胸の内を絶妙に表現して下さる下和田さん。心配して声をかけた流水に応える裕太の台詞が切なく、思わず胸が痛くなります。
そんな裕太を抱きしめる流水。
裕太を優しく包み込む流水を、包容力に溢れた声音で演じて下さる平川さん。その優しさに裕太の目から堪えていた涙が零れるシーンでは、
お二人の演技にぐっと物語の中に引き込まれていきます。穏やかな平川さんの口調に、聴いているこちらも裕太同様、甘やかされているような、
大きな腕の中に包まれているような心地よささえ感じられました。流水と裕太、二人が一緒に暮らし出すきっかけとなる大事な冒頭の場面は、
お二人の繊細な演技で印象的なシーンに仕上がっています。

そして現在に戻り、裕太役は下和田さんから羽多野さんへとバトンタッチ。
17歳になった裕太を羽多野さんがいきいきと演じて下さっています。流水に引き取られ、しっかり者に育った裕太。
家事全般や流水の世話をテキパキとこなしながら、明るく振る舞う裕太がとてもかっこいいです!
時には甘えるそぶりを見せたり、体のことを省みず仕事に打ち込む流水を心配して見せたり…
かっこいい裕太が流水にだけ見せる様々な顔を、羽多野さんが表情豊かに演じて下さっています。

坪井さんの演じられる原野は、二人のよき理解者で、物語を彩る重要なキャラクターです。
流水をからかったりしながらも、ぎくしゃくし出した二人を心配し、要所要所で面倒見のよい部分を見せたり、二人のために尽力したりと
各シーンのアクセントとなっています。
一見ちゃらちゃらしているようにも見えますが、そんな言葉尻にも二人を思う優しさが見え隠れする坪井さんの絶妙な演技はさすがです!
指をくるくる回したり、手をパタパタさせたりと身振り手振りをしながら原野を演じて下さる坪井さん。飄々としていながらも時にコミカルな
演技はまさに原野そのもの! シリアスな場面が続く中、原野が登場するとその明るい雰囲気に思わず笑みがこぼれます。

裕太のために一生懸命働いてきた流水と、流水を気遣って家庭のことを取り仕切ってきた裕太。
何もかもうまくいっているような二人ですが、裕太のアルバイトや進路の話から、二人の間に少しずつ距離が生じます。
どんどんすれ違っていく二人の様子が、平川さんと羽多野さんのぎこちない会話からはっきりと見てとれます。何とか関係を改善しよう、
保護者として裕太を理解しようとふるまう流水に、彼から離れようとする裕太。かみあわない気持ちのやりとりが、二人を更に距離を更に広げてしまい…。
これまで明るくいい子だった裕太の突然の理解できない言動や、家族として愛してきた裕太が離れていくことへの喪失感に苛まれる
流水の切ないモノローグを、平川さんが震える声で繊細に表現して下さっています。裕太の行動に振り回され、心をかき乱されていく様子が
本当に切なく痛々しいです。平川さんの紡がれる裕太への悲痛な想いがとても胸を打ちます!

一方、裕太も家族としてこれまで自分を愛してくれた流水を、違う意味で愛してしまい苦しみます。
流水を裏切りたくない。そんな想いから、裕太は流水から距離を置こうとするのですが――。
流水の前で明るく振る舞う裏に隠し持った複雑な心情や、決していい子じゃない一面。どこか見え隠れする影。
羽多野さんの紡がれる繊細な心の声と台詞から、裕太の行き場のない想いが痛いほど伝わってきます。

そんな中、決定的に二人の間に亀裂の入る出来事が起こり――。
流水への想い故に彼の側から離れようとした裕太に、「保護者として」涙ながらに台詞を紡ぐ平川さん。
そんな流水に、裕太の行き場のない想いや怒りが爆発してしまいます。
これまで感情を抑えてきた裕太の悲痛な想いがとても切ないです。どこか陰のある、鬱屈したような裕太の告白と、
初めて彼の抱えていた想いに気付く流水。低く露悪的に吐き出される裕太の言葉が胸に刺さります。そしてそんな裕太に対して、流水は――。
じっくりとお二人の演技に耳を傾けて頂きたいシーンです。
キャストの皆さんの熱のこもった芝居に、思わずこちらまで苦しくなったりしているうちに1日目の収録は無事終了となりました。


■収録2日目
2日目は、平川さん、羽多野さん、坪井さんをはじめ、朱美役の幸田さん等、キャストの皆さんが勢ぞろいした所で、
先日収録した音源を聞きながら、簡単なキャラクターの確認を行います。原野のコミカルなリアクションのシーンが流れると、
思わずキャストの皆さんからどっと笑いが! わきあいあいとした雰囲気で本番へと進みます。

1日目に引き続き、平川さんには流水を熱演して頂きました。
物語が進むにつれ、流水は裕太とのすれ違いや自分自身の心情の変化によって、悩んだり、落ち込んだりと、切ない心理描写が多くなります。
裕太に出て行かれた寂しさや、家族の域を超えた執着と独占欲。優しく穏やかだった流水がどんどん鬱屈していく様子等、
流水の感情の動きを丁寧に演じて下さる平川さん。
とりわけ、朱美の存在によって芽生えた「裕太を渡したくない」という愛憎の入り混じった複雑な想いの吐露が素敵です。
平川さんの台詞にのせて、流水の心情が心に響きます。

流水への報われない想い故に家を出た裕太を演じて下さる羽多野さん。作中、裕太の心の声も多数モノローグで表現されているのですが、
7年間抱えてきた流水への複雑な愛情に、終始切なさに胸がしめつけられるようでした。
「家族」として流水を愛しているけれど、「家族」では足りない。「家族」じゃなく「恋人」になりたい。
行き場のない想いが爆発して、思わず彼の側から逃げてしまう裕太の姿が切ないです。

そして、原野と共にこの物語のキーパーソンでもある朱美役の幸田さん。サバサバして落ち着いた雰囲気がとても素敵です。
ドライかつ飾らない大人のフェロモンが溢れていて、いい女オーラが全開! 家を出た裕太を部屋に泊め、男女の関係を持ちますが、
流水のことを知り、悩む裕太に的確な言葉を言うシーンの朱美には、思わずかっこいい!と思わされます。
思い悩む裕太と流水の関係を大きく動かす、重要な存在の朱美を幸田さんが魅力的に表現して下さっています。
また、原野役の坪井さんとのシーンでは、大人の男女のウィットに飛んだやりとりが楽しめます。必聴です!


原野と朱美、二人の協力のおかげもあり、すれ違っていた裕太と流水の心が結ばれます。
家族から恋人へ。お互いを想い合うが故に遠回りした二人。これまで悲しい想いをした分、幸せになってよかったね!
と思わずこちらも嬉しくなってしまいます。

ですが、もともと「家族」だった流水と裕太。裕太は流水への気遣いから、想いが通じて幸せながらもなかなか関係を深めることができません。
流水を想うが故に、待とうと決心する裕太。
そんな裕太にどんどん自信をなくしていき、疑心暗鬼になる流水。過去の女性の存在を意識したり、本当に裕太が自分を好きなのかと疑ったり、
どんどん自信をなくしていく流水。不安な想いを涙ながらにぶつける平川さんの演技に、思わず胸が痛くなるほどきゅんとさせられます。

そしてそんな流水に、これまで我慢していた想いが一気に噴き出す裕太。
流水の朱美への嫉妬や自分への愛情を知り、喜びと欲情を抑えきれない様子を、羽多野さんが感情を爆発させて演じて下さいました!
羽多野さんの紡がれる台詞から流水の愛情が溢れ出していて、本当に幸せな気持ちになれます!

そして二人が肌を合わせるラストシーンでは、本当に愛情いっぱいの素敵なシーンになっています。
リードしながらも流水に甘えたり、羞恥に震えながらも裕太への愛おしさと快感を抑え切れなかったり、思わず微笑んでしまうような
幸福感に溢れたシーンになっています。ぜひすれ違い続けた二人の幸せなシーンをご堪能下さい。

わきあいあいとした雰囲気の中、収録は順調に進み、無事に本編部分が終了となりました。

本編終了後、購入特典のフリートークでは、平川さん・羽多野さんのお二人で、楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録の感想や印象深いシーンについてなど、本編の内容にも深く触れて下さっています。内容は、聴いて下さる皆さんのお楽しみなのですが、
平川さんと羽多野さんの楽しいトークがたくさん詰まっていますので、ぜひこちらもお楽しみ頂きたいと思います。

長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でしたー」とにこやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れ様でした!
それでは、8月14日発売「ハピネス」。皆さんぜひお楽しみ下さい!!

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